通販・ECのコールセンターの仕事内容|受注と返品・解約の実務

通販・ECのコールセンターの仕事|仕事内容・きつさ・向いている人・未経験の始め方

「注文の電話を受ける仕事」。通販・ECのコールセンターは、そう説明されることが多い。

ところが、実際に鳴る電話の中身を統計に当てると、重心は別のところにある。国民生活センターが集計した2024年度の消費生活相談のうち、通信販売に関するものは335,228件。その内容別分類(複数回答)で最も多いのは「契約・解約」の85.4%で、「接客対応」は12.5%にとどまる。

注文そのものより、注文が終わったあとに何が起きたかを扱う窓口である。コールセンターという職種の成り立ちはコールセンターの仕事内容で分解しているが、通販・ECの現場では、答えの根拠が自社の方針ではなく法律と広告の表示に置かれている点が独特だ。

目次

受注センターは業界の3番目に多い受託業務

受注を専門に扱うセンターは、業界の中では最大勢力ではない。受託の実態を見ると、順位がはっきり出る。

受託内容の3位に受注センターが入る

日本コンタクトセンター協会(CCAJ)の2025年度コンタクトセンター企業実態調査(対象109社・回答68社・回収率62.4%)で、センター業務の受託内容を尋ねた結果は次の通りだった。

受託内容 社数 割合
カスタマーサポート 64社 94.1%
問い合わせ受付 61社 89.7%
受注センター 47社 69.1%
事務局業務 44社 64.7%
営業サポート 38社 55.9%
商品勧誘等 37社 54.4%

受注センターは3番目で、7割近い企業が受託している。ただし上位2つがほぼ全社に近い点も見ておきたい。受注を扱う会社であっても、その会社の中で最も多い業務はカスタマーサポートであるという並びになっている。

クライアント業種でも通信販売が2位

同調査でクライアントの業種を尋ねた項目では、「サービス業」50社(73.5%)に次いで「通信販売業」が44社(64.7%)で2番目に多かった。「金融・保険業」43社(63.2%)がこれに続く。

CCAJの業種マップによれば、通信販売業には総合商品通信販売業・飲食料品通信販売業・衣料品通信販売業・日用品雑貨類通信販売業などが含まれる。扱う商材が食品か衣類かで、問い合わせの内容は当然変わる。求人票に「通販の受注」とだけ書かれている場合、商材が何かを聞いておくと、覚える範囲の見当がつく。

電話の中身は「注文」より「注文のあと」

受注センターという名前から想像される業務と、実際に来る問い合わせの分布は、かなりずれる。

消費生活相談の3分の1超が通信販売

国民生活センターが全国の消費生活センター等から集めたPIO-NETのデータでは、2024年度の相談総件数910,181件のうち、販売購入形態別で最も多いのが通信販売の335,228件(36.8%)だった。店舗購入182,052件(20.0%)を大きく上回る。

これは消費生活センターに寄せられた相談であって、通販会社のコールセンターに直接かかった電話ではない。それでも、通販という買い方が消費者の困りごとを最も多く生んでいる形態であることは確かで、その困りごとの一次受けをしているのが事業者側のコールセンターである

内容別に開くと「契約・解約」に偏る

通信販売335,228件を内容別分類(複数回答)で見ると、次のようになる。

内容別分類 件数 割合
契約・解約 286,132件 85.4%
販売方法 233,053件 69.5%
表示・広告 58,481件 17.4%
接客対応 42,057件 12.5%
価格・料金 39,021件 11.6%
品質・機能、役務品質 35,294件 10.5%

同じ表で店舗購入を見ると、「接客対応」は26.0%、「品質・機能、役務品質」は24.3%を占める。通信販売はどちらもその半分以下で、代わりに契約・解約と販売方法に集中している。

対面で買った人は接客と品物について不満を持ち、通販で買った人は契約の内容について不満を持つ。この差は、電話窓口に求められる能力の差になる。通販・ECの窓口で必要なのは、愛想よりも契約条件を正確に読み解く力である。

返品の可否は、会社の方針ではなく広告の表示で決まる

「返品できますか」という電話に、オペレーターはその場で判断しない。判断の材料は、注文したページに何が書いてあったかである。

特定商取引法が広告に表示を義務づけている

消費者庁の特定商取引法ガイドによれば、通信販売の広告には販売価格(送料を含む)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、事業者の氏名・住所・電話番号、返品に関する事項などの表示が義務づけられている(法第11条)。誇大広告等も禁止されている(法第12条)。

つまり返品条件は、注文の前に広告上で確定している。電話口で新しく決められるものではない。

表示がない場合は8日以内・送料は消費者負担

返品特約の表示がなかった場合の扱いも、法律が定めている。同ガイドによれば、商品の引渡しを受けた日から数えて8日以内であれば、消費者は申込みの撤回や契約の解除ができ、送料を消費者が負担して返品できる(法第15条の3)。事業者が広告で特約を表示していた場合は、その特約による。

国民生活センターは、通信販売がクーリング・オフの対象外であり、代わりにこの返品ルールが適用されると案内している。訪問販売や電話勧誘販売との違いはここにある。

オペレーターの答えが「規約による」で始まりがちなのは、担当者が逃げているからではない。法律が、答えの根拠を広告の表示に置いているからである。応対の型そのものはコールセンターのクレーム対応のコツと共通するが、通販の場合は根拠の場所が最初から決まっている。

定期購入の解約が、相談の2位に入っている

通販の相談で特に量が多い型がある。定期購入である。

手口別で2位、94,178件

PIO-NETの2024年度データを販売方法・手口別に見ると、1位が「インターネット通販」190,834件、2位が「定期購入」94,178件だった。定期購入は前年度の85,217件から増えている。

国民生活センターは、この2つについて化粧品や健康食品のインターネット通販での定期購入契約に関連する相談が多いとしている。

トラブルの型は決まっている

国民生活センターが挙げる定期購入トラブルの典型は、ポイントサイト経由の購入で返品時の送料負担という条件を見落とす、広告で2〜3回目まで安いと表示されていたがその後に高額の請求が続く、SNS広告で1回限りと認識した商品が実際には4回以上の継続が条件だった、といったものである。

こうした電話は、事実確認から入る。いつ、どの広告経由で、どの条件で申し込んだか。契約の解除を求める電話に対して、オペレーターがまず行うのは共感ではなく事実の特定になる。定期購入は電話1本で完結しないことも多く、一件あたりの通話は長くなりやすい。

衝突しやすい場面への備えは会社ごとに差がある

解約の申し出は、事業者と顧客の利害が正面からぶつかる場面である。会社側の備えがどこまで進んでいるかは、CCAJ調査に手がかりがある。

カスタマーハラスメント対策の6項目について「既に対応している」と答えた企業数を見ると、最多は「社内報告・連携体制の整備」の35社で、未回答を除く67社のうち50%を超えたのはこの項目だけだった。対応基準の明確化は33社、対応方針または行動基準の策定・公開は30社、相談窓口の設置は29社、対応マニュアルの策定は27社、警察通報基準・規則の策定は21社にとどまる。

報告の仕組みはあるが、その前段の基準やマニュアルは半分に届いていない。面接で確認する価値があるのはこの部分で、「困ったらSVに上げる」以外の手順が定まっているかどうかが、解約対応の負荷を分ける。

配送のトラブルは、自社で解けない問題として来る

商品が届かない、破損していた、代引で受け取れなかった。配送に関する電話は、通販の窓口に固有の難しさを持っている。

代引配達は手口別6位

PIO-NETの販売方法・手口別で「代引配達」は20,416件の6位に入る。注文していない商品が代金引換で届く型の相談が含まれる区分である。

配送に関する問い合わせが難しいのは、荷物の現在地を握っているのが自社ではなく運送会社だからである。オペレーターは、追跡番号を伝え、配達状況を確認し、再配達を依頼する立場に立つ。自分で解決できない事柄について、進捗を伝え続ける役になる。

引渡時期は広告に書かれている

もっとも、ここでも法律が判断の枠を作っている。前述の通り、商品の引渡時期は広告の必要表示事項に含まれる(法第11条)。加えて、代金を先に受け取り、商品の引渡しに時間がかかる場合には、申込みの承諾の有無や金額、引渡時期などを記載した書面を渡す義務がある(法第13条)。

「いつ届きますか」という問いに答える根拠は、注文時点で示された引渡時期にある。ここを最初に確認してから話すと、通話は短く終わりやすい。

電話をかけてくるのは高齢の顧客が多い

もう一点、通販の窓口には想像とずれる特徴がある。国民生活センターの2024年度データで、通信販売に関する相談の契約当事者を年代別に見ると、70歳以上が21.4%で最も高い。50歳代と60歳代がそれぞれ18.8%で続く。

ネット通販という買い方から連想される若年層より、上の世代のほうが相談の数では多い。画面上の操作案内が電話で求められる場面が出てくるということでもある。注文履歴の確認方法、マイページからの解約手順、追跡番号の見方。電話の向こうで相手が何を見ているかを、こちらが画面を見ずに把握する必要がある。ここは通販の窓口で最初につまずきやすい部分で、商品知識より先に慣れが要る。

繁忙期の波は12月に集中する

通販・ECのコールセンターを他業種と分けている最大の要素は、業務量の季節変動である。

ネットショッピングの支出は12月に跳ねる

総務省統計局の家計消費状況調査は、二人以上の世帯がインターネットを利用して1か月間に支出した金額を月次で公表している。直近2年の動きは次の通りである。

2024年 2025年
2月 22,799円 23,830円
5月 23,484円 26,047円
8月 25,797円 28,449円
11月 26,347円 29,424円
12月 31,493円 31,538円

2025年は12月が31,538円で、最も低い2月の23,830円を32.3%上回った。2024年の同じ比較では38.1%差になる。11月から12月にかけて跳ね上がり、1月から2月にかけて落ちるという形が、2年続けて同じように出ている。

年末に3割増える買い物は、そのまま注文の電話と、その後の問い合わせの増加になる。通販の窓口で12月に起きるのは、応対件数の増加ではなく、応対の質が保てなくなる方向の圧力である。

波を吸収する枠が派遣と短期になる

この波は、雇用の形にも表れる。CCAJ調査で派遣を活用している企業は59社(88.1%)に達し、活用の理由は「一時的な人材不足の解消」88.1%、「受託案件への柔軟な対応」55.9%が上位を占めた。

季節変動の大きい案件ほど、繁忙期に合わせた短期・派遣の枠が置かれる。求人が年末前に増えるのはこの構造による。逆に、通年で安定した勤務を求めるなら、受注中心の案件よりカスタマーサポート中心の案件のほうが読みやすい。短期の枠から入る選び方はコールセンターのバイト・パートで整理している。

給料と働き方、そして求人票で確かめる4点

業種で切り分けた賃金統計は存在しない。使えるのは職種全体の数字だけである。

職種全体の実額

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、コールセンターのオペレーターは「電話応接事務員」として集計される。フルタイムの年収換算は約394万円(きまって支給する現金給与額295,200円×12ヶ月+年間賞与393,700円)、短時間労働者の時給は1,363円である。通販の窓口だけを取り出した数字ではないため、業種による高低をこの統計から言うことはできない。内訳はコールセンターの年収・給料で分解している。

電話は減り、テキストが増えている

CCAJ調査の業務量の増減では、電話業務は「昨年度より減少した」が19社で「増加した」16社を上回った。一方、メールやチャット等のテキストによる業務は「増加した」が28社で最多だった。

通販・ECは、注文から問い合わせまでがWeb上で完結しやすい領域である。テキスト側の枠が先に増えるのは自然な順序で、電話に苦手意識がある人にとっては入り口になりうる。テキスト中心の働き方はカスタマーサポート(メール・チャット対応)の仕事内容にまとめた。

求人票で確かめる4点

  1. 受注が中心か、問い合わせ対応が中心か。前者は繁忙期の波が大きく、後者は通年で安定しやすい
  2. 扱う商材。化粧品や健康食品は定期購入の解約対応が入る可能性が高い
  3. 配送に関する一次受けを担当するか。自社で解決できない案件を抱える時間が増える
  4. 雇用期間。年末に合わせた短期募集か、通年の募集かで働き方が変わる

このうち1番目と4番目の組み合わせで、1年の過ごし方がほぼ決まる。短期で12月だけ入る枠は、最初から繁忙期の中に入ることになる。逆に通年の問い合わせ対応なら、覚えるのは商品知識と手続きの流れである。

受注や予約の受付から探すなら、受注・予約受付(インバウンド)の求人で雇用形態や勤務時間を確認できる。

よくある質問

通販のコールセンターは注文を受けるだけの仕事ですか

CCAJの2025年度調査では、受注センターを受託している企業は47社(69.1%)だが、カスタマーサポートは64社(94.1%)、問い合わせ受付は61社(89.7%)と、いずれも上回っている。受注専用の枠より、注文後の問い合わせを扱う枠のほうが多い。

通販のコールセンターはきついですか

PIO-NETの2024年度データでは、通信販売に関する相談335,228件のうち85.4%が「契約・解約」に関するものだった。店舗購入で26.0%を占める「接客対応」は、通信販売では12.5%にとどまる。負荷の中心は接客そのものより、契約条件の確認と説明にある。

返品を断ることはありますか

特定商取引法は通信販売の広告に返品に関する事項の表示を義務づけており(法第11条)、特約の表示がない場合は引渡しを受けた日から8日以内であれば消費者が送料を負担して返品できると定めている(法第15条の3)。特約が表示されていればその内容が適用される。判断は広告の表示に沿って行われ、オペレーターの裁量ではない。

繁忙期はいつですか

総務省統計局の家計消費状況調査によれば、二人以上の世帯のインターネットを利用した1か月間の支出は、2025年12月が31,538円で、最も低い2月の23,830円を32.3%上回った。2024年も12月が最高で、2月との差は38.1%だった。11月から12月にかけて業務量が膨らむ形が続いている。

未経験でも通販のコールセンターで働けますか

CCAJ調査で採用に苦労している企業は67社中45社(82.1%)にのぼる。加えて通販の受注案件は繁忙期に合わせた短期の募集が出やすく、入り口としては広い側にある。ただし定期購入の解約や配送のトラブルを扱う枠は、手続きの理解に時間がかかる。

次に読む

出典

  • 一般社団法人日本コンタクトセンター協会「2025年度 コンタクトセンター企業 実態調査」(対象109社・回答68社・回収率62.4%・2025年6月16日〜7月23日実施) https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/outsourcing_research_2025.pdf
  • 独立行政法人国民生活センター「2024年度 全国の消費生活相談の状況−PIO-NETより−」2025年8月6日公表(相談総件数910,181件・2025年5月末日までの登録分) https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250806_3.html
  • 消費者庁「特定商取引法ガイド 通信販売」(法第11条 広告の表示/第12条 誇大広告等の禁止/第13条 前払式通信販売の承諾等の通知/第15条の3 返品制度) https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
  • 独立行政法人国民生活センター「クーリング・オフ(テーマ別特集)」および「通信販売での定期購入(各種相談の件数や傾向)」(定期購入 2024年度89,044件・2025年5月31日時点の登録分) https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/subscription_traps.html
  • 総務省統計局「家計消費状況調査」インターネットを利用した1世帯当たり1か月間の支出(全国・二人以上の世帯・月次・22品目計) https://www.stat.go.jp/data/joukyou/12.html
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別/短時間労働者 職種別1時間当たり所定内給与額(企業規模計10人以上) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html

LINEで受付・コールセンター求人を無料相談

友だち追加で、あなたに合った受付・コールセンター求人の相談・新着通知が受け取れます。

LINE友だち追加して無料相談

受付キャリアナビ(運営:求人アグリ研究所)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

目次