コールセンターの仕事内容|受信中心の実態と年収394万円

コールセンターの仕事とは(ヘッドセットで対応するオペレーター)

結論から書く。コールセンターの仕事は、顧客からかかってきた電話を受け、用件を処理し、その内容を記録に残すことである。日本コンタクトセンター協会(CCAJ)が2025年度に実施したコンタクトセンター企業実態調査では、電話業務の売上構成を答えた67社のうち57社、85.1%が「インバウンド(受信)のみ」または「インバウンドの方が多い」と回答している。

ただし「電話を受ける仕事」という説明は、求人票を読むときにはほとんど役に立たない。

通販の注文を受けるセンターと、通信機器の故障を切り分けるセンターと、契約更新の案内をかけるセンターでは、一日の中身がまったく違う。それでも求人票の職種名はどれも「コールセンター」である。違いを決めているのは職種名ではなく、そのセンターが誰から何を受託しているかのほうだ。

この記事では、業界68社の実態調査と厚生労働省の賃金統計を使って、その中身を分解していく。

目次

「コールセンター」は職種名ではなく、業務を置く場所の名前

まず、求人票の職種名から実際の業務が読み取れない理由を確定させておきたい。

CCAJ調査の回答企業68社は、クライアント企業から業務を請け負って運営する受託会社である。つまりセンターの仕事は、クライアントが自社で持ちたくない業務を切り出したものであり、何が切り出されるかは業界と会社によって変わる。

受託している業務の内訳

同調査で、センター業務の受託内容を尋ねた結果(複数回答)は次の通りだった。

受託内容 社数 割合
カスタマーサポート 64社 94.1%
問い合わせ受付 61社 89.7%
受注センター 47社 69.1%
事務局業務 44社 64.7%
営業サポート 38社 55.9%
商品勧誘等 37社 54.4%
市場調査 27社 39.7%
来場促進 20社 29.4%

上から3つが7割を超えている。カスタマーサポートと問い合わせ受付はほぼ全社が扱っており、この2つがコールセンターの標準業務にあたる。一方で商品勧誘は54.4%、市場調査は39.7%と、扱っている会社のほうが少数寄りになる。

つまり「コールセンター=売り込みの電話をかける仕事」という理解は、業界の実態から見ると少数派の像を全体に広げたものである。

職種名が同じでも一日が違う理由

同じ会社の中でも、配属されるセンターによって業務は変わる。受託先が変われば、対応する商材も、参照するマニュアルも、評価される指標も入れ替わるからだ。

クライアントの業種を尋ねた項目では、「サービス業」が50社(73.5%)で最多、次いで「通信販売業」44社(64.7%)、「金融・保険業」43社(63.2%)と続いた。1社が複数業種のクライアントを抱えているため、同じ会社に入っても配属先で扱う内容が変わる。

求人票に「未経験歓迎・研修あり」とだけ書かれていて業務の中身が薄い場合、配属が確定していないケースがある。応募の段階で「どの業種のどんな案件か」を確認しておくと、入ってからの落差が小さくなる。

受信と発信は85%対12%に偏っている

「コールセンター」と聞いて営業電話を連想する人は多い。統計を見ると、その連想は業界の構成とかなりずれている。

電話業務の内訳

CCAJ調査で、電話業務における受信と発信の比率(売上ベース)を尋ねた結果がこうなっている。

区分 社数(N=68)
インバウンドのみ 2社
インバウンドの方が多い 55社
ほぼ同じ 1社
アウトバウンドの方が多い 8社
アウトバウンドのみ 1社
非公開 1社

非公開を除く67社のうち、インバウンド中心が57社で85.1%。アウトバウンド中心は9社で13.4%にとどまる。

この偏りは求人の母数にそのまま効いてくる。求人サイトで「コールセンター」を検索したときに出てくる案件の多くは、かかってきた電話を受ける仕事である。発信の仕事を探しているなら、募集の絶対数が少ないところから選ぶことになる。受信と発信で何が変わるのかはインバウンドとアウトバウンドの違いで分解した。

相手はほとんどが個人

同調査で電話の相手を尋ねた項目では、「B to Cのみ」4社と「B to Cの方が多い」43社を合わせた47社が、非公開を除く67社の70.1%を占めた。「B to Bの方が多い」は12社、「B to Bのみ」は2社である。

相手が個人か法人かで、会話の性質は変わる。個人相手なら、こちらの説明の前提知識を持っていない人が電話口に立つ。法人相手なら、担当者は自社の業務として電話をかけてきており、用件が整理されていることが多い。

7割が個人相手ということは、説明を噛み砕く力のほうが、専門知識より先に要求されるということである。求人票の「未経験歓迎」は、この構造から出てきている面がある。

一本の電話は「受ける前」と「切ったあと」で長さが決まる

実際の一日を追うと、電話を話している時間そのものは業務の一部でしかない。

受電から後処理まで

一件の応対は、おおよそ次の順で進む。

  1. 着信を受け、名乗り、用件を聞く
  2. 顧客情報を検索し、契約や購入の履歴を確認する
  3. マニュアルまたは商品情報を参照して回答する
  4. 自分で判断できない場合はスーパーバイザー(SV)に確認する
  5. 電話を切ったあと、応対内容をシステムに入力する

このうち5番目が「後処理」と呼ばれる工程で、入力の量は案件によって大きく変わる。契約変更を伴う案件なら入力項目が多く、電話が3分でも後処理に5分かかることがある。逆に定型的な問い合わせなら、選択肢を選んで数十秒で終わる。

求人票の「1時間あたり○件」という記載を見るときは、この後処理の重さを合わせて聞いておきたい。件数が多い案件は、それだけ一件が短いということでもある。

電話だけのセンターはもう少数派

「コールセンター」という名前に反して、扱うチャネルは電話だけではない。CCAJ調査の対応チャネル別の実施状況はこうなっている。

チャネル 対応している企業の割合(N=68)
電話 95.6%
eメール 80.9%
Webフォーム 69.1%
FAX 58.8%
有人チャット 55.9%
チャットボット 48.5%
AIボイスボット 35.3%
ソーシャルメディア 32.4%

有人チャットが55.9%と半数を超えている。電話に苦手意識がある人にとって、テキスト対応の枠が実在するという意味で、この数字は判断材料になる。

電話は減り、テキストと自動応答は増えている

同調査は業務量の増減も尋ねている。電話業務は「昨年度より減少した」が19社で、「増加した」16社を上回った。一方、メールやチャット等のテキスト業務は「増加した」が28社で最多、チャットボットやボイスボット等の自動応答も「増加した」が21社で最多だった。

電話が減ってテキストと自動が増える。この3つが同時に起きているとき、電話に残るのは自動応答で処理しきれなかった用件である。つまり電話の一件あたりの難易度は、これから上がる方向にある。定型的な問い合わせほど先に自動化されるからだ。

給料は雇用形態で2つの相場に分かれる

求人を並べると、月給制と時給制がほぼ同じ数だけ出てくる。統計上も、この2つは別の集団として集計されている。

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、コールセンターのオペレーターは「電話応接事務員」(電話交換手を含む職種区分)として集計される。

フルタイムとパートの実額

区分 金額 平均年齢 勤続年数 労働者数
フルタイム(年収換算) 約394万円 43.6歳 7.8年 179,540人
パート・アルバイト(時給) 1,363円 50.2歳 5.7年 97,730人

年収換算は「きまって支給する現金給与額295,200円 × 12ヶ月 + 年間賞与393,700円」で計算した。前者には残業代が含まれる。

注目したいのは所定内実労働時間154時間・超過実労働時間8時間という数字である。残業が月8時間しかない。長時間労働で年収を積み上げる職種ではないため、時間あたりで見ると水準は低くない。所定内給与額277,700円を154時間で割ると、時給換算で1,803円になる。

パートの平均年齢が50.2歳である点も見ておきたい。学生や若手が短期で入れ替わる職場という像とは重ならない。給与の内訳はコールセンターの年収・給料でさらに分解している。

直接雇用と派遣

雇用形態の構成にも偏りがある。CCAJ調査でコミュニケーターの雇用状況を答えた67社のうち、「直接雇用の方が派遣より多い」が52社で77.6%を占めた。ただし派遣を何らかの形で活用している企業は59社、88.1%に達する。

派遣活用の理由は「一時的な人材不足の解消」が88.1%で最多、次いで「受託案件への柔軟な対応」が55.9%だった。上位2つが示すのは、派遣枠が案件の増減を吸収するために置かれているということである。案件が終われば契約も終わりうる枠だと考えておいたほうがいい。

未経験が入りやすいのは、採用側が採れていないから

コールセンターの求人に「未経験歓迎」が多い理由は、仕事が簡単だからではない。

82.1%が採用に苦労している

CCAJ調査で採用活動の状況を答えた67社のうち、「苦労している」26社と「やや苦労している」29社を合わせた45社、82.1%が採用難を訴えている。

職種ごとの過不足を見ると、非公開を除く66社のうちスーパーバイザーは87.9%、コミュニケーター・オペレーターは72.7%に不足感があった。どちらの職種でも「過剰気味である」と答えた企業はゼロだった。

採用が難しい職種では、入り口の条件が緩む。未経験歓迎の求人が多いのはその結果であって、業務が易しいことの証明ではない。

研修とQCの体制は会社によって差がある

入り口が広い分、入ったあとの支えがあるかどうかが分かれ目になる。同調査で体制を尋ねた項目では、専任トレーナーが「いる」と答えた企業は36社、「いない」は30社(非公開2社)。専任のQC・QA担当者が「いる」は31社、「いない」は35社(非公開2社)だった。

いずれもおおむね半々である。研修担当が専任でいる会社と、SVが片手間で新人を見る会社が、同じ業界の中に併存しているということだ。求人票の「研修あり」という記載だけでは、この差は判別できない。面接で研修期間の長さと担当者の有無を聞いておきたい。未経験からの入り方はコールセンター未経験デビューにまとめた。

きつさの正体は電話そのものではない

コールセンターは「きつい仕事」として語られることが多い。何がきついのかを統計に当てると、電話以外の要素が見えてくる。

SVが3年連続で薄くなっている

CCAJ調査によると、SV1人あたりが受け持つコミュニケーターの数は次のように推移している。

年度 SV1人あたりのコミュニケーター数
2023年度 8.54人
2024年度 8.83人
2025年度 8.93人

3年連続で増加している。SVは新人のフォローと、オペレーターが判断できない案件のエスカレーション先を兼ねる立場である。ここが薄くなると、判断に迷う電話を一人で抱える時間が長くなる

前述の通りSVの不足感は87.9%で、オペレーター不足の72.7%より強い。現場の負荷が上がっている方向は、この2つの数字が揃って指している。

強いストレスの中身は「電話」ではなく「量」

厚生労働省の令和6年労働安全衛生調査(実態調査)は、労働者8,596人の回答をもとに、強い不安・悩み・ストレスの内容を集計している。全産業の結果はこうだった。

内容(主なもの3つ以内) 割合
仕事の量 43.2%
仕事の失敗、責任の発生等 36.2%
仕事の質 26.4%
対人関係(セクハラ・パワハラを含む) 26.1%
会社の将来性 22.2%
顧客、取引先等からのクレーム 20.7%

コールセンター単独の集計ではないため、そのまま当てはめることはできない。それでも、クレームが5位で20.7%という順位は見ておく価値がある。電話応対の職場でも、負荷の主因が量と責任の側にある可能性は十分にある。

きつさの内訳と、辞める前にできる切り分けはコールセンターがきついと感じたときで扱っている。

続けた先に開く3つの方向

入り口の話が終わったら、その先の話になる。統計から見える選択肢は3つある。

方向1:SV・管理者

SVの不足感87.9%は、裏返せば昇格の余地が大きいということである。賃金統計は役職別の内訳を持たないためSVの平均年収を直接示せないが、電話応接事務員の男女差(男性464万円・女性358万円)が毎月の所定内給与6万7,100円と年間賞与20万300円に集中していることから、年収を動かす変数が役職であることは読み取れる。

方向2:在宅勤務

在宅オペレーションを「既に実施している」企業は、非公開を除く65社中39社で60%に達した。実施理由の最多は「働き方の多様化のため」で39社中33社(84.6%)である。

一方で「実施予定はない」は22社あり、その理由は「セキュリティ上の問題」が18社(81.8%)と突出していた。在宅にできるかどうかは本人の希望ではなく、受託案件の性質で決まる。金融や個人情報を扱う案件は在宅化しにくい。

方向3:業界の外へ出る前提で技能を積む

長く続けるつもりなら、業界の方向も見ておきたい。同調査で売上高を公開した47社の合計は1兆5,260億3,400万円で、前年度比765億8,200万円、4.8%の減少だった。前年度と比較可能な37社に限っても4.4%減である。

人手は足りていないのに、業界全体のパイは縮んでいる。この2つが同時に起きているとき、全体の待遇が底上げされる展開は考えにくい。上がるのは不足している役割に就いた人の分だけ、という読みのほうが現実的である。

自動応答の増加と合わせて考えると、人が残るのは判断と例外処理の側になる。続けられるかどうかより、続けた先に何が身につくかで職場を選んだほうがいい。受託内容と雇用形態から絞り込むならカスタマーサポート(受信)の求人で勤務形態や雇用区分を確認できる。

よくある質問

コールセンターの仕事は未経験でもできますか

CCAJ調査で採用に苦労している企業が82.1%に達しており、入り口は広い状態にある。ただし専任トレーナーがいる企業は36社、いない企業は30社とほぼ半々で、研修体制には差がある。入りやすさと続けやすさは別に確認したい。

電話が苦手でもコールセンターで働けますか

対応チャネルの調査では、有人チャットに対応している企業が55.9%、eメールが80.9%ある。電話以外のチャネルを扱う枠は実在する。ただし調査は企業単位の実施状況であり、テキスト専任の求人がその割合で存在するという意味ではない。募集要項でチャネルの指定を確認する必要がある。

一日に何件くらい電話を受けますか

CCAJ調査に応対件数の項目はなく、公的統計にも職種別の受電件数はない。件数は案件の性質と後処理の重さで大きく変わるため、応募先ごとに確認するしかない。求人票に件数の記載がある場合は、一件あたりの平均通話時間と後処理時間を合わせて聞くと実態に近づく。

コールセンターの正社員求人は多いですか

雇用状況を答えた67社のうち、直接雇用の方が派遣より多い企業は52社(77.6%)。ただし直接雇用は正社員だけでなく契約社員やパートを含む区分である。賃金統計ではフルタイム17万9,540人に対して短時間労働者9万7,730人で、働く人の3人に1人が短時間勤務にあたる。

コールセンターの経験は他の仕事で活きますか

同調査でセンターが受託している業務は、カスタマーサポート94.1%、問い合わせ受付89.7%、受注センター69.1%が上位を占める。いずれも顧客情報の検索と入力を伴う業務であり、事務職と重なる作業が多い。応対そのものより、システム操作と記録の速さが持ち出せる技能になる。

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出典

  • 一般社団法人日本コンタクトセンター協会「2025年度 コンタクトセンター企業 実態調査」(対象109社・回答68社・回収率62.4%・2025年6月16日〜7月23日実施) https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/outsourcing_research_2025.pdf
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)/短時間労働者 職種別1時間当たり所定内給与額(企業規模計10人以上) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html
  • 厚生労働省「令和6年 労働安全衛生調査(実態調査)」個人調査(有効回答8,596人・有効回答率46.4%) https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r06-46-50.html

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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