クレジットカードのコールセンターの仕事|不正利用対応と本人確認

クレジットカードのコールセンターの仕事|仕事内容・きつさ・向いている人・未経験の始め方

結論から書く。クレジットカードのコールセンターの主な仕事は、利用明細と請求に関する照会、不正利用と紛失・盗難の受付、そして限度額や支払方法の変更手続きである。

ただし「カードの問い合わせ窓口」という説明では、この仕事の性質が落ちる。

他業種のセンターと違うのは2点ある。ひとつは、通話の中でカードを止めるかどうかが決まる電話が混ざること。もうひとつは、手続きの多くに法令で定められた確認工程が挟まっていて、オペレーターの判断で飛ばせないことである。この2つが、応対の速度と、断り方の両方を規定している。

コールセンターという仕事の全体像はコールセンターの仕事内容に譲り、ここではカード会社に固有の事情だけを扱う。

目次

不正利用の93.1%は「カードは手元にあるのに使われている」

まず、電話の入り口がどう変わったかを数字で確定させておきたい。

一般社団法人日本クレジット協会が2026年3月6日に公表した「クレジットカード不正利用被害の集計結果について」(クレジットカード発行会社40社が回答)によると、2025年通年の不正利用被害額は510.5億円で、前年比8.0%の減少だった。

問題は総額ではなく、内訳のほうにある。

偽造被害は2002年の165.0億円から7.2億円へ落ちた

不正利用被害額 うち番号盗用 うち偽造カード
2020年 253.0億円 223.6億円(88.4%) 8.0億円(3.2%)
2022年 436.7億円 411.7億円(94.3%) 1.7億円(0.4%)
2023年 540.9億円 504.7億円(93.3%) 3.1億円(0.6%)
2024年 555.0億円 513.5億円(92.5%) 5.9億円(1.1%)
2025年 510.5億円 475.4億円(93.1%) 7.2億円(1.4%)

同協会の集計では、偽造カードによる被害は2002年の165.0億円をピークに縮小を続け、2025年は7.2億円である。一方の番号盗用は475.4億円で、被害額全体の93.1%を占める。

カードそのものを複製されて使われる時代は、統計上ほぼ終わっている。いま起きているのは、カードは財布の中にあるまま、番号だけが別の場所で使われるという形の被害である。

気づくのは本人ではなく明細のほう

この違いが、電話の入り方を変える。

カードを落とせば、本人はその場で気づく。番号だけが抜かれた場合、本人が異常を知るのは利用明細を見た瞬間になる。つまり申告は事後になり、応対は「いつ、どこで、いくら使われたか」を1件ずつ突き合わせる作業から始まる。

場所の幅も広い。番号盗用被害475.4億円の内訳は、国内365.0億円(76.8%)に対し海外110.4億円(23.2%)だった。加盟店名が英字で並ぶ明細を、本人と一緒に読み解く場面が出てくる。

紛失の受付より、身に覚えのない請求の受付のほうが件数の中心になる。この構造は、求人票の「不正利用対応」という一語からは読み取れない。

発生率は下がった。それでも電話が減るとは限らない

被害額の話には続きがある。防御側の数字を見ると、方向ははっきり改善している。

不正利用発生率は0.038%まで下がった

同協会が2026年3月31日に公表した集計によると、クレジットカードショッピングの信用供与額に占める不正利用被害額の割合(不正利用発生率)は次のように推移している。

ショッピング信用供与額 不正利用被害額 不正利用発生率
2022年 93兆7,926億円 436.7億円 0.047%
2023年 105兆7,272億円 540.9億円 0.051%
2024年 116兆8,924億円 555.0億円 0.047%
2025年 134兆5,861億円 510.5億円 0.038%

市場そのものは拡大しているのに、被害額は2024年をピークに反転した。四半期で追うとさらに急で、2025年の被害額は第1四半期193.2億円、第2四半期121.4億円、第3四半期102.0億円、第4四半期93.9億円と、1年で51.4%減っている。

減った理由が、そのまま電話の理由になる

この改善の背景には、業界共通の対策がある。

経済産業省の割賦販売法(後払分野)に基づく監督の基本方針で実務指針として位置づけられている「クレジットカード・セキュリティガイドライン」は、5.0版で、EC加盟店に対し2025年3月末までのEMV 3-Dセキュア導入を原則として求めた。カード発行会社側にも、EC利用者のEMV 3-Dセキュア登録率80%、登録会員の静的パスワード以外の認証方式への100%移行という目標が置かれている。

決済のたびに本人認証の工程が増えれば、不正な決済は通りにくくなる。同時に、正規の利用者が認証で止まる場面も増える。買い物の途中で決済が通らなかった人が最初にかける先は、加盟店ではなくカード会社である。

その加盟店の側の窓口が何を受けているかは通販・ECのコールセンターの仕事内容にまとめた。そちらに集まるのは決済の可否ではなく、返品の可否と定期購入の解約である。

被害額が減ることと、問い合わせが減ることは、同じ方向には動かない。セキュリティを上げた分だけ、説明の必要な電話が生まれるという関係にある。

通話の中で「止めるかどうか」が決まる

次に、時間の性質の話をしたい。

一般的な問い合わせは、答えを返せば終わる。不正利用と紛失・盗難の受付はそうならない。通話の中で、そのカードの利用を止めるかどうかが決まるからである。

止めた瞬間に、別の支払いも止まる

カードの利用を停止すると、そのカード番号に紐づけて登録されている継続的な支払いも通らなくなる。公共料金、通信料金、月額のサービスがそれにあたる。番号が変わる再発行では、登録先を1つずつ登録し直す作業が本人の側に残る。

この波及を、停止を決める前に伝える必要がある。判断するのは本人だが、判断材料を並べるのはオペレーターの仕事になる。

説明の順序が固定されている

だから、この種の通話では話す順序が決まってくる。被害の特定、停止の可否、停止したあとに起きること、再発行の手続きと日数、そして請求の扱い。この順で進めなければ、あとで「聞いていない」が発生する。

自由に会話を組み立てる余地は小さい。裏返せば、覚えるべき流れが明確な業務でもある。応対の巧拙が出るのは言い回しではなく、どの情報をどの順で置くかのほうにある。

「限度額を上げてほしい」に即答できない理由は法律にある

もうひとつ、この業種に固有の制約がある。手続きの一部が法令で縛られていることだ。

割賦販売法第30条の2は、包括信用購入あっせん業者に対し、カードを交付・付与しようとする場合、またはすでに交付したカードの極度額(利用限度額)を増額しようとする場合に、それに先立って調査を行うことを義務づけている。調査する対象は、年収、預貯金、信用購入あっせんに係る債務の支払の状況、借入れの状況などである。

さらに同条第3項は、この調査を行うときに、指定信用情報機関が保有する特定信用情報を使用しなければならないと定めている。

断れないのではなく、通話中には決められない

続く第30条の2の2は、極度額が調査に基づいて算定した包括支払可能見込額に所定の割合を乗じた額を超えるときは、カードを交付してはならず、極度額を増額してもならないと規定している。

つまり限度額の増額は、調査を経ずには実行できない。しかも調査には外部機関の情報照会が要る。電話口で「今すぐ上げてほしい」と言われても、通話の中で結論を出せる構造になっていない。

ここを制度として説明できるかどうかで、応対の質が変わる。理由を言わずに「できません」と返すと、断りが担当者個人の判断に見える。制約の出どころが法律にあることを伝えられれば、同じ結論でも会話の終わり方が変わる

本人確認の質問が多くなるのは、被害の形から逆算されている

本人確認の項目が多い理由も、ここまでの数字から導ける。

不正利用の93.1%が番号盗用である以上、カード番号を知っていることは本人であることの証明にならない。番号を言えるという事実は、番号を盗んだ側にも成立する。だから確認は、番号以外の複数の要素で組み立てられる。

確認が長引けば、本人にとっては煩わしい工程になる。それでも省略できない。この非対称を通話の中で成立させるのが、この職種の技能にあたる。

在宅にしにくい業種に分類される

働き方の話に移る。結論を先に書くと、在宅を最優先の条件にする人には向きにくい。

日本コンタクトセンター協会(CCAJ)が2025年度に実施したコンタクトセンター企業実態調査は、コールセンターの受託会社109社を対象に68社が回答したものである。この調査でクライアントの業種を尋ねた項目では、金融・保険業を挙げた企業が43社(63.2%)あった。同調査の業種マップでは、カード会社はこの金融・保険業の区分に含まれる。

実施しない理由の81.8%がセキュリティ

同調査で在宅オペレーションの実施状況を答えた65社のうち、「既に実施している」は39社で60%だった。実施理由の最多は「働き方の多様化のため」で39社中33社(84.6%)である。

一方、「実施予定はない」と答えた22社の理由は、「セキュリティ上の問題」が18社(81.8%)で突出していた。

カードの窓口が扱うのは、カード番号、有効期限、利用明細、口座情報、そして本人確認の照合結果である。番号盗用が被害の93.1%を占める状況で、これらを自宅の環境に持ち出す判断は取りにくい。在宅可の求人が出るとすれば、扱う情報を限定した一部の業務に絞られる。

在宅を条件にするなら、案件の性質から探し方を変えたほうが早い。その方向は在宅コールセンターの始め方にまとめている。銀行など他の金融系との違いは銀行・金融のコールセンターの仕事で扱っている。

給料と、求人票で確かめる4点

賃金の話に移る前に、断っておきたいことがある。業種別の給与統計は存在しない。

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、コールセンターのオペレーターは「電話応接事務員」(電話交換手を含む職種区分)として集計される。フルタイムの年収換算は約394万円(きまって支給する現金給与額295,200円×12か月+年間賞与393,700円)、パート・アルバイトの1時間当たり所定内給与額は1,363円だった。

これはコールセンター全体の平均であり、カード会社の案件に限った数字ではない。金融系だから高い、という主張を裏づける公的データはない。給与の内訳そのものはコールセンターの年収・給料で分解している。

求人票のどこを見るか

平均値と目の前の求人を突き合わせるなら、この職種に固有の4点を確認すれば足りる。

  1. 一般の照会窓口か、紛失・不正利用の専用窓口か
  2. 勤務時間帯と、深夜・早朝のシフトが含まれるか
  3. 研修期間の長さと、法令に関する研修が含まれるか
  4. 在宅の可否と、その対象業務の範囲

1番目は通話の性質を決める。停止の判断が絡む窓口は、1件あたりの緊張度が上がる。2番目は、明細を確認する時間帯が日中に限られないことに関係する。3番目は覚える量に直結し、4番目は前節の通りセキュリティの制約を受ける。

CCAJ調査で採用に苦労している企業は、回答した67社のうち45社(82.1%)にのぼる。職種ごとの過不足でも、コミュニケーター・オペレーターは66社中72.7%が不足と答え、「過剰気味である」と答えた企業はゼロだった。採用側が採れていない状況では、これらを面接で確かめる余地がある。雇用形態や勤務時間から絞り込むならカスタマーサポート(受信)の求人で条件を並べて比較できる。

よくある質問

クレジットカードのコールセンターはきついですか

負荷は通話の種類で分かれる。停止の判断を伴う不正利用・紛失の受付は、説明する項目が多く、相手の不安も強い。一方で照会や手続きの窓口は、手順が定型化されている。求人票が扱う窓口の種類を書いているかどうかで、応募前に見当をつけられる。

金融の知識がないと働けませんか

入る前の知識は前提にされていない。ただし割賦販売法が限度額の増額に調査義務を課しているように、制度上の制約を説明する場面がある。研修で覚える対象に法令の内容が含まれるかどうかは、求人票の研修内容から読み取りたい。

本人確認の質問が多いのはなぜですか

不正利用被害額の93.1%(2025年・日本クレジット協会集計)が番号盗用によるものだからである。カード番号を言えることが本人であることの証明にならない状況では、番号以外の複数の要素で確認する必要がある。確認項目の多さは、被害の形から逆算された設計である。

在宅で働けますか

CCAJの2025年度調査では、在宅オペレーションを実施していない22社の理由として「セキュリティ上の問題」が81.8%を占めた。カードの窓口はカード番号や利用明細を扱うため、在宅化の制約が強い区分に入る。在宅を条件にするなら、扱う情報の種類が異なる案件を探すほうが現実的である。

未経験でも採用されますか

CCAJの2025年度調査では、採用活動の状況を答えた67社のうち45社(82.1%)が「苦労している」または「やや苦労している」と回答した。入り口は広い状態にある。ただし専任トレーナーが「いる」と答えた企業は36社、「いない」は30社とほぼ半々で、研修体制には差がある。入りやすさと続けやすさは別に確認したい。

次に読む

出典

  • 一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害の集計結果について」(2026年3月6日公表・2025年第4四半期および2025年通年・回答40社) https://www.j-credit.or.jp/download/news20260306_a1.pdf
  • 一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害 不正利用発生率について」(2026年3月31日公表・2025年 0.038%) https://www.j-credit.or.jp/download/news20260331_b1.pdf
  • 割賦販売法(昭和36年法律第159号)第30条の2「包括支払可能見込額の調査」および第30条の2の2「包括支払可能見込額を超える場合のカード等の交付等の禁止」(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000159
  • クレジット取引セキュリティ対策協議会(事務局:一般社団法人日本クレジット協会)「クレジットカード・セキュリティガイドライン【5.0版】」(2024年3月・EC加盟店のEMV 3-Dセキュア原則導入期限は2025年3月末) https://www.j-credit.or.jp/security/pdf/Creditcardsecurityguidelines_5.0_published.pdf
  • 一般社団法人日本コンタクトセンター協会「2025年度 コンタクトセンター企業 実態調査」(対象109社・回答68社・回収率62.4%・2025年6月16日〜7月23日実施) https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/outsourcing_research_2025.pdf
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)/短時間労働者 職種別1時間当たり所定内給与額(企業規模計10人以上) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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