不動産会社の受付の仕事内容|宅建は必要か・来店予約と案内

不動産会社の受付・受付事務の仕事内容|1日の流れ・向いている人・未経験の始め方

不動産会社の受付は、来店客の一次対応と物件問い合わせの電話、来店予約の管理、契約書類の受け渡しと保管を担う。

先に、応募前に最も引っかかる点から答える。受付として働くのに、宅地建物取引士の資格は要らない。宅地建物取引業法が資格者の設置を求めているのは事務所単位の話で、受付という職に資格要件を付けてはいない。

ただし、受付が宅建業法の外にいるわけでもない。この職種は法律上、2つの意外な形で数えられている。ひとつは事務所の資格者数の分母として。もうひとつは、資格を取ろうとしたときに数えてもらえない期間として。

目次

受付に宅建は不要でも、受付の人数は資格者数に効いてくる

事務所の専任宅建士は「5分の1以上」で決まる

宅地建物取引業法31条の3第1項は、宅地建物取引業者に対し、事務所等ごとに国土交通省令で定める数の専任の宅地建物取引士を置くことを義務づけている。その数は同法施行規則15条の5の3で、「当該事務所において宅地建物取引業者の業務に従事する者の数に対する宅地建物取引士の数の割合が5分の1以上となる数」と定められている。

従業者5人につき1人以上、という言い方がされるのはこの規定による。

その分母に受付が入っている

問題は「業務に従事する者」に誰が含まれるかである。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」(令和8年4月1日施行版)は、第31条の3関係で次のように定めている。宅地建物取引業のみを営む者の場合、原則として代表者、非常勤を除く役員、およびすべての従業員等が含まれ、受付、秘書、運転手等の業務に従事する者も対象となる。ただし取引に直接的な関係が乏しい業務に臨時的に従事する者は該当しない、とされている。

つまり受付を1人採用すれば、その1人も分母に入る。従業員が10人の事務所なら専任宅建士は2人以上、11人になれば3人以上が必要になる計算だ。資格が要らない職なのに、採用が資格者の必要数を動かすという関係になっている。

面接で「宅建は持っていますか」と聞かれることがあるのは、この構造の裏返しでもある。受付の要件ではないが、持っていれば会社側の人数計算が楽になる。

受付として働いた期間は、宅建士登録の実務経験に算入されない

登録には2年の実務経験か、登録実務講習が要る

宅建士として登録するには、試験合格に加えて実務経験が要る。宅地建物取引業法18条1項が実務経験を求め、同施行規則13条の15がその期間を2年と定めている。2年に足りない場合は、同規則13条の16により国土交通大臣の登録を受けた「登録実務講習」を修了すれば同等と認められる。

受付の期間は、この2年に数えられない

ここで先ほどの解釈・運用がもう一度効いてくる。同文書の第18条関係は、実務経験として算入できる業務を「顧客への説明、物件の調査等具体の取引に関するもの」と解したうえで、受付、秘書、いわゆる総務、人事、経理、財務等の一般管理部門等の顧客と直接の接触がない部門に所属した期間および単に補助的な事務に従事した期間は算入しないことが適当だとしている。

不動産会社の受付を2年務めても、それだけでは登録要件の実務経験にならない。「不動産で受付から始めて宅建士へ」という道筋を考えている場合、この点は先に知っておきたい。試験合格後は登録実務講習を受ける前提で計画を立てるか、営業や物件調査の担当に業務を広げる必要がある。

裏を返せば、受付職として働くうえでは資格の有無が評価軸にならないということでもある。求められるのは別の技能である。

来店予約と物件案内の同行は、会社によって扱いが違う

来店予約が業務の重心になる

不動産会社の来客は、飛び込みより予約が中心になる。ポータルサイトからの問い合わせ、電話、店頭。この3経路から入った希望条件を、担当営業の予定に当てはめていく作業が受付の中心業務になる。

条件の聞き取りが浅いと、当日の内見が空振りになる。希望エリア、予算、入居希望時期、単身か家族か。この4点を予約の段階でどこまで押さえるかで、営業側の準備が変わる。予約管理は接客というより、日程と条件のマッチング作業に近い。

物件案内への同行は「あり」の会社と「なし」の会社に分かれる

内見への同行を受付が担当するかどうかは、会社の設計次第である。同行がある場合、業務は店外に出て、契約の説明に近い場面に立ち会うことになる。

ここで注意したいのは、重要事項の説明そのものは宅建士の職務だという点だ。受付が同行しても、説明の主体にはならない。募集要項に「物件案内」と1行だけ書かれているときは、それが運転と現地開錠までなのかを確認しておきたい。条件の説明まで含む場合、業務は営業補助に近づく。

従業者証明書の携帯義務がある

もうひとつ、一般のオフィス受付にはない実務がある。宅地建物取引業法48条1項は、宅建業者が従業者にその従業者であることを証する証明書を携帯させなければ業務に従事させてはならないと定め、同条2項で、取引の関係者から請求があったときは提示しなければならないとしている。

この携帯義務の対象範囲について、解釈・運用の第48条第1項関係は、31条の3第1項の従事者の範囲に非常勤役員と一時的に事務を補助する者を加えたものとしている。受付も証明書を携帯し、従業者名簿に記載される。名札とは別に、請求されたら見せる書類が手元にあるということだ。

求人の母数と待遇はどう見るか

宅建業者は13万2,291業者ある

区分 業者数
大臣免許 3,158業者
知事免許 129,133業者
合計 132,291業者

国土交通省の令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査によると、令和6年度末時点の宅地建物取引業者数は132,291業者で、前年度から1,708業者(1.3%)増え、11年連続の増加となった。うち97.6%が知事免許で、地域に根ざした中小規模の会社が大半を占めている。

事業所の数が多く、しかも全国に分散している。受付の募集が地方でも見つかりやすいのは、この分布による。

待遇は受付・案内事務員の水準に置かれる

区分 実額 平均年齢 勤続年数
フルタイム(年収換算) 約356万円 42.0歳 8.6年
パート・アルバイト(時給) 1,231円 50.1歳 6.2年

公的統計は不動産業の受付を独立の職種として集計していない。参照できるのは受付・案内事務員の全国値で、年収換算は「きまって支給する現金給与額256,500円 × 12ヶ月 + 年間賞与485,800円」で計算した。

不動産会社の受付では、これに歩合や契約手当が付く募集がある。ただし歩合が付くのは契約に関与する場合で、受付専任のままでは基本給の範囲にとどまることが多い。求人票の「インセンティブあり」が誰に対する制度かを確認すると、提示額との差が読める。オフィス系受付との共通部分は企業受付・総合受付の仕事内容で整理している。

応募前に確認したい3点

  • 内見同行の有無と、同行時の業務範囲
  • 土日出勤の頻度(来店は週末に集中する)
  • 契約書類の作成補助まで含むかどうか

3点とも勤務の形そのものを決める。2つ目は特に効き、不動産の来店は土日に偏るため、平日休みのシフトが前提になる会社が多い。勤務日と時間帯から絞り込む段階なら店舗系も含む企業受付・総合受付の求人で条件を指定して比べられる。

よくある質問

不動産の受付に宅建は必要ですか

受付という職に資格要件はない。宅地建物取引業法31条の3が求めているのは、事務所ごとに業務に従事する者の5分の1以上の専任宅建士を置くことで、誰がその資格者かは事務所側が決める。ただし受付もこの「業務に従事する者」に数えられる(国土交通省の解釈・運用の考え方 第31条の3関係)。

受付の経験は宅建士の実務経験になりますか

ならない。国土交通省の解釈・運用の考え方 第18条関係は、受付・秘書・総務・人事・経理などの一般管理部門に所属した期間は実務経験に算入しないことが適当としている。試験に合格した場合は、登録実務講習(施行規則13条の16)の修了で登録要件を満たす経路になる。

未経験でも応募できますか

受付・案内事務員の平均勤続は8.6年、平均年齢は42.0歳で、資格ではなく在籍で層ができている職種である。不動産受付でも同様で、募集要件に置かれるのは資格より接客経験と、予約や書類を正確に扱えるかどうかになる。

土日は必ず出勤ですか

来店が週末に集中する業態のため、土日のいずれかを含むシフトが一般的である。ただし賃貸仲介と売買仲介、管理会社では来店の波が違う。応募先の主力業務がどれかで、週末の出勤頻度が変わる。

歩合はもらえますか

契約に関与する立場かどうかで分かれる。受付専任の場合、基本給に対する固定的な手当の形が多い。求人票にインセンティブの記載があるときは、支給対象が営業職限定か、受付を含むかを確認しておきたい。

次に読む

出典

  • 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第18条第1項・第31条の3第1項・第48条第1項及び第2項、同施行規則第13条の15・第13条の16・第15条の5の3(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176 )
  • 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」令和8年4月1日施行版、第18条関係・第31条の3関係2(1)・第48条第1項関係(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001881261.pdf)
  • 国土交通省「令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」(令和6年度末の宅地建物取引業者数132,291業者/大臣免許3,158・知事免許129,133/前年度比1,708業者増・11年連続増加)(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00105.html)
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別・企業規模計10人以上・産業計。受付・案内事務員(一般労働者84,880人/短時間労働者84,580人)

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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