整体・リラク・マッサージ店受付の仕事内容|資格の境目

整体・リラク・マッサージ店の受付の仕事内容|1日の流れ・向いている人・未経験の始め方

整体院、リラクゼーションサロン、マッサージ店。街の看板では隣り合って並ぶが、法律の側から見ると同じ枠には入っていない。

受付として働く側にとって、この違いは知識の問題では終わらない。「マッサージの予約を取りたい」と電話で言われたときに何と答えるか、「先生は国家資格を持っていますか」と聞かれたときに何を答えられるかが、店によって変わるからだ。

分かれ目は、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律にある。

目次

「マッサージ」は、法律上は免許の要る業務名である

看板に書かれている言葉のうち、いくつかは免許に紐づいた業務名になっている。

免許が要求されている行為

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)第1条は、医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれの免許を受けなければならないと定めている。柔道整復は柔道整復師法という別の法律で、こちらも免許制である。

つまり「マッサージ」「指圧」「はり」「きゅう」「柔道整復」は、店の側が自由に選べる呼び名ではない。免許を持つ者がいて初めて掲げられる業務名になる。

整体やリラクゼーションは、その4つに入っていない

入っていないから自由、という理解には落とし穴がある。同法第12条は「何人も、第1条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない」と定めているからだ。

第12条の2に経過措置がある。法律の公布の際に引き続き3か月以上その医業類似行為を業としていて、届出をしていた者は、第12条にかかわらずその業を続けてよい、という建て付けである。

厚生省健康政策局医事課長通知(平成3年6月28日・医事第58号)は、この届出をしていない者について、当該医業類似行為の施術が医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰の対象になる、と示している。

「無資格でもできる仕事」という一言は、この構造を飛ばしている。禁止規定は存在していて、危害のおそれがあるかどうかで扱いが動く。受付が客に説明する場面はないとしても、自分が働く店がどちら側かは知っておきたい。

受付が電話で言えることは、広告の規制から逆算できる

店の売り文句をそのまま電話で繰り返すと、規制の側にぶつかることがある。

広告できる事項は5つに限られている

同法第7条は、あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業もしくはきゆう業またはこれらの施術所に関して、何人も、いかなる方法によるを問わず、次の事項以外を広告してはならないと定めている。

  • 施術者である旨ならびに施術者の氏名および住所
  • 第1条に規定する業務の種類
  • 施術所の名称、電話番号および所在の場所を表示する事項
  • 施術日または施術時間
  • その他厚生労働大臣が指定する事項

さらに第7条第2項は、このうち氏名・業務の種類・施術所の表示について広告する場合でも、その内容は施術者の技能、施術方法または経歴に関する事項にわたってはならないとしている。

「独自の手技」「〇〇療法の認定を受けた施術者」といった言い方が、そもそも広告に載せられない。免許者のいる施術所で受付をするなら、電話で口にしてよい範囲もこの枠から大きくは離れない。

「治りますか」への応答は、通知が名指ししている

医事第58号は、カイロプラクティック療法について4点を示している。

禁忌対象疾患の認識では、腫瘍性・出血性・感染性疾患、リウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等に加え、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症などと明確な診断がなされているものは対象として適当ではないとされた。危険な手技として、頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法が名指しで禁止されている。誇大広告についても、がんの治癒等医学的有効性をうたった広告が規制の対象になると書かれている。

残る1点が、受付の電話に直結する。適切な医療受療の遅延防止である。長期間あるいは頻回の施術によっても症状が増悪する場合はもとより、腰痛等の症状が軽減・消失しない場合は、潜在的に器質的疾患を有している可能性があるため、施術を中止して速やかに医療機関で精査を受けること、とされている。

「何回か通えば治りますか」「病院に行かなくても大丈夫でしょうか」。この2つに受付が良かれと思って答えると、通知が防ごうとしている遅延そのものを作ることになる。

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施術所の数は、区分によって逆を向いている

働き先の母数は、厚生労働省の衛生行政報告例で2年ごとに追える。

就業者はどの区分も増えている

区分 令和6年末 令和4年比
あん摩マッサージ指圧師 119,703人 +790人(+0.7%)
はり師 136,736人 +5,250人(+4.0%)
きゅう師 134,730人 +5,252人(+4.1%)
柔道整復師 78,666人 +1,034人(+1.3%)

伸び幅が大きいのは、はり師ときゅう師である。あん摩マッサージ指圧師の増加は0.7%にとどまる。

施術所は、あん摩マッサージ指圧だけが減っている

施術所の区分 令和6年末 令和4年比
あん摩、マッサージ及び指圧を行う施術所 17,531か所 △486か所(△2.7%)
はり及びきゅうを行う施術所 35,494か所 +1,604か所(+4.7%)
あん摩、マッサージ及び指圧、はり並びにきゅうを行う施術所 38,595か所 +221か所(+0.6%)
柔道整復の施術所 50,924か所 +8か所(0.0%)

あん摩マッサージ指圧の施術者は増えているのに、それだけを行う施術所は2.7%減った。増えているのは、はり・きゅうを含む施術所である。柔道整復の施術所は50,924か所で、2年間の増減が8か所しかない。

求人の出どころとしては、はり・きゅうを併せ持つ施術所と、法律の枠外にあるリラクゼーション店の2方向になる。前者には施術所としての届出義務があり、開設後10日以内に開設の場所と業務に従事する施術者の氏名等を都道府県知事へ届け出ることになっている(第9条の2)。届出の対象になる氏名の欄に、受付は入らない。

求人票のどちら側かを、応募前に見分ける

判断材料は、募集要項に並ぶ業務名にほぼ出ている。

項目 免許が要る側 免許の枠外に置かれる側
代表的な呼び名 あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう(柔道整復は別法) 整体・カイロプラクティック・もみほぐし・リフレクソロジー
根拠になる条文 あはき法第1条・柔道整復師法 あはき法第12条・第12条の2(医業類似行為)
施術所の届出 開設後10日以内に都道府県知事へ(第9条の2) 同条の準用は第12条の2第1項の者に限られる
広告 第7条の5事項に限定。技能・施術方法・経歴にわたらない 誇大広告は規制の対象になりうる(医事第58号)

免許が要る側の店では、受付が扱う言葉が制度で縛られている。枠外の側では、その縛りが弱いかわりに、店が何を約束しているのかを受付自身が把握しておく必要が出る。どちらが楽かではなく、間違え方が違う。

営業時間の長さは両方に共通する。夜まで開けている店が多く、シフトは遅番に厚くなる。美容・サロン受付の求人情報で条件を見るときは、最終受付の時刻を先に確認しておきたい。医療機関側の窓口と比べたい場合は眼科・整骨院の受付の仕事内容が近い位置にある。

給料は受付・案内事務員の統計から見当をつける

整体院やリラクゼーション店の受付だけを切り出した賃金統計はない。近い区分は厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査の「受付・案内事務員」になる。

正社員は年収356万円、パートは時給1,231円

区分 金額 平均年齢 勤続年数 労働者数
一般労働者(フルタイム) 年収換算 約356万円 42.0歳 8.6年 84,880人
短時間労働者(パート) 時給 1,231円 50.1歳 6.2年 84,580人

年収換算は「きまって支給する現金給与額256,500円 × 12か月 + 年間賞与485,800円」で算出した。パートは実労働日数13.7日・1日5.7時間で、月収換算は約9万6千円になる。

この業種で時給がこの水準を上回るとすれば、遅番の比率か、施術を兼ねる前提かのどちらかである。後者の場合、募集の職種名が受付でも、実際には施術者としての採用に近い。免許の要る業務を含むなら、その免許が応募条件に書かれているはずなので、募集要項で確認できる。受付という職種全体の枠組みは受付の仕事内容と職場の種類で整理している。

よくある質問

整体院やリラクゼーション店の受付に資格は必要ですか

受付・会計・予約管理の業務に免許の要件を定めた規定は見当たらない。ただし施術の側は別で、あはき法第1条はあん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅうを業とする者に免許を求めている。受付として入ったあとに施術を任される流れがあるなら、その時点で免許の話になる。

「マッサージ」と書いてある店の受付は何が違いますか

免許者がいる施術所である可能性が高くなる。施術所には開設後10日以内の届出義務があり、広告できる事項もあはき法第7条で5項目に限られている。受付が電話で説明できる範囲も、その分だけ限定される。

「この痛みは治りますか」と聞かれたらどう答えればよいですか

効果を断定しないのが前提になる。医事第58号は、症状が軽減・消失しない場合には施術を中止して速やかに医療機関で精査を受けることを求めている。受付の立場では、施術内容と料金、所要時間を伝え、症状の判断は施術者や医療機関に渡すのが筋になる。

施術所とリラクゼーション店では、受付の忙しさは変わりますか

公的統計に業務量の比較はない。ただし施術所の数は、はり・きゅうを行う施術所が2年で4.7%増えたのに対し、あん摩マッサージ指圧のみを行う施術所は2.7%減っている。募集がどちら側から出やすいかは、この差に表れる。

次に読む

出典

  • あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)第1条・第7条・第9条の2・第12条・第12条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000217
  • 厚生省健康政策局医事課長通知「医業類似行為に対する取扱いについて」平成3年6月28日・医事第58号 https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta1076&dataType=1&pageNo=1
  • 厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」令和7年7月29日公表(各年末現在・表5および表6)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/24/
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」受付・案内事務員(産業計・企業規模計10人以上・男女計)

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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