受付の仕事はきつい?辞めたい理由を統計で分解する

受付の仕事はきつい?辞めたい理由と対処法

受付の残業は、月7時間である。

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査で、受付・案内事務員の超過実労働時間は7時間。比較した事務系職種の中で最も短い。数字だけを並べると、この職種はきつい仕事の顔をしていない。

それでも「きつい」という語で検索される。数字と実感がここまで食い違うとき、原因は労働時間の総量ではないところにある。

目次

辞めた人の理由を見ると、上位は人間関係ではない

受付という職種に限定した離職理由の統計は公表されていない。ただ、近いところまでは辿れる。

女性の1位は労働条件、2位が人間関係

厚生労働省の令和6年雇用動向調査は、1年間に転職した人が前職を辞めた理由を性別に集計している。受付・案内事務員はフルタイム8万4,880人のうち女性が6万7,390人で、79.4%を女性が占める職種である。参照するのは女性の値になる。

前職を辞めた理由(女性・令和6年) 割合
その他の個人的理由 24.3%
労働時間、休日等の労働条件が悪かった 12.8%
職場の人間関係が好ましくなかった 11.7%
定年・契約期間の満了 10.7%
給料等収入が少なかった 8.3%
会社都合 5.3%
会社の将来が不安だった 5.1%

この調査は全産業・全職業の転職入職者を対象にしたもので、受付職だけを抜き出した数字ではない。それでも、労働条件が人間関係を上回っているという順序は押さえておきたい。辞める理由として最初に挙がるのは、誰と働くかより、どういう条件で働くかのほうである。

上がっているのは労働条件のほう

令和5年と比べると、女性で上昇幅が最も大きかったのは「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」の1.7ポイントだった。「職場の人間関係が好ましくなかった」は逆に1.3ポイント下がっている。

この2つの動きは、対処の順番を示している。人間関係は入社してみないと分からないが、労働条件は求人票と面接の段階で確認できる。辞めたい理由の上位は、応募前に手が打てる側に寄っている

労働時間が短いのに疲れるのは、時間の使われ方が理由である

1日あたりの残業は21分しかない

賃金構造基本統計調査で、受付・案内事務員の1ヶ月は所定内実労働160時間、超過実労働7時間。月20日勤務として割り戻すと、1日8時間の所定内労働に対して残業は21分になる。

持ち帰りの作業もほとんど発生しない。労働時間の総量という点では、この職種は恵まれている側にある。

160時間が、まとまった160時間ではない

問題は所定内のほうにある。160時間という数字は事務系の職種の中で最も長く、しかも中身が連続していない。

来客が入る、電話が鳴る、内線で呼ばれる。そのたびに手元の作業が止まる。1時間で終わる予定の作業が1時間で終わる日は、ほとんどない。加えて窓口は人が立っていないと成立しないため、席を外すタイミングを自分で決められない。休憩を交代で取る職場では、昼食の時間帯すら相手の都合で動く。

疲労の実体は、働いた時間の長さではなく、自分の手元に残る時間の少なさにある。残業が少ないという条件と、この疲れ方は矛盾しない。

一人で悩まず、まずはLINEで相談。あなたに合う受付・コールセンターの求人をご提案します。LINELINEで相談する

受付固有のきつさは3つに分けられる

「きつい」とひとまとめにされている中身を開くと、性質の違う3つが混ざっている。

板挟みの位置に座っている

受付は組織の外側と内側が最初に接触する場所にある。来客と社内の担当者、患者と医師、会員と店舗。双方の都合がぶつかったとき、最初に言葉を返すのは受付である。

決裁の権限は持っていない。それでも「少々お待ちください」の先を作るのは自分の判断になる。急いでいる相手と先に来ていた相手のどちらを先に通すか、担当者が席にいないときにどこまで代わりに聞くか。判断の材料が足りないまま、その場で決める場面が定期的に来る。

この位置は、どの勤務先でも変わらない。人当たりの良さで軽くなる種類の負荷でもない。

うまくいった日ほど何も残らない

受付の仕事は、滞りなく回った日に記録が残らない。逆に、取り次ぎを一件間違えれば、その一件だけが記憶に残る。

評価の材料が失敗の側にしか蓄積しない構造は、続けるほど効いてくる。半年前に来客の流れを整理して待ち時間を短くしていたとしても、その改善は誰の目にも触れないまま定着する。改善が定着すると、改善前の状態を覚えている人がいなくなるからだ。

面談で「何をやりましたか」と聞かれて答えに詰まるのは、やっていないからではない。残る形で残っていないためである。

覚える範囲が業務分掌で切れない

社内の人員配置、施設の設備、料金、当日の予定。受付は聞かれたら答える立場なので、覚える範囲が自分の担当業務の内側で閉じない。組織が大きいほどこの範囲は広がる。

3つのうち、板挟みと評価の非対称は職種に付いている性質で、勤務先を変えても消えない。覚える範囲だけは、組織の規模と業務の切り分け方で軽くなる。

応募の段階で外せるきつさがある

離職理由の1位が労働条件だった以上、確認すべきは条件の側になる。

求人票で確認する4点

  1. 受付以外の業務がどこまで含まれるか。庶務や経理補助が付くと、中断されながら締切のある作業を進めることになる。
  2. 受付が1人体制か複数体制か。席を離れられるかどうかが、休憩と離席の自由度を決める。
  3. シフトの決まり方。希望を出す方式か、固定か、月ごとに変動するか。
  4. 雇用形態と契約期間。離職理由の4位は「定年・契約期間の満了」10.7%で、本人の意思と関係なく在籍が終わる枠が一定数ある。

このうち2番目が最も効く。1人体制の受付は、業務量が同じでも拘束の密度がまったく違う。求人票に人数の記載がなければ、面接で聞いておきたい。

勤務先のタイプによって、そもそも発生する例外の種類が変わる。医療系は患者の状態、施設系は時間帯の集中、サロン系は当日キャンセル、オフィス系は担当者の不在が例外になる。系統ごとの違いは勤務先タイプ別の受付の仕事一覧で整理した。条件から絞り込む場合は企業受付・総合受付の求人で勤務形態を指定できる。

面接では数字で返ってくる質問をする

1日の来客数、受付の配置人数、休憩の取り方。この3つは事実の質問なので、答えが曖昧なら現場が把握していないという情報になる。「忙しいですか」と聞いても比較できる答えは返ってこない。

辞めると決める前に、動いた人の結果を見ておく

同じ雇用動向調査に、転職した人の賃金がどう動いたかの集計がある。

前職と比べて賃金が「増加」した人は40.5%、「減少」は29.4%、「変わらない」は28.4%だった。1割以上増えた人が29.4%、1割以上減った人が21.7%いる。パートタイム労働者どうしの移動に限ると、増加が減少を15.4ポイント上回った。

4割が上がり、3割が下がる。移れば良くなるとも、移ると損をするとも言えない分布である。ここで効くのは、辞めたい理由が条件にあるのか、職種そのものにあるのかという切り分けのほうになる。条件が理由なら、次の求人票で外せる項目かどうかを先に確認する。給与が理由なら、受付職の水準そのものが受付の年収・給料で示した通り事務系の下位にあるため、勤務先を変えても大きくは動かない。

よくある質問

受付のバイト・パートはきついですか

短時間労働者の平均は1日5.7時間・月13.7日で、時給1,231円、月収換算で約9万6,000円になる。平均年齢は50.1歳、勤続6.2年。学生の短期バイトが中心の枠ではなく、生活に組み込んで続けている層が多数を占める。拘束時間が短い分、フルタイムより中断の負荷は小さい。

受付の人間関係がきついというのは本当ですか

雇用動向調査で女性が挙げた離職理由のうち「職場の人間関係が好ましくなかった」は11.7%で2位、前年から1.3ポイント下がっている。人間関係が理由の離職は一定数あるが、労働条件(12.8%)を下回る。受付特有の要因としては、社内の複数部署と接点を持ちながらどの部署にも属さない立ち位置が挙げられる。

覚えることが多くて続けられるか不安です

受付が覚える範囲は組織の規模に比例する。社員数の少ない事務所や、来客の用件が定型化している施設では、覚える量は大きく減る。応募先を選ぶ段階で調整できる負荷なので、初めての受付で不安があるなら小規模な職場から入るほうが無理がない。

受付を1年で辞めるのは早いですか

フルタイムの平均勤続は8.6年、パートは6.2年である。平均から見れば1年は短い。ただし離職理由の10.7%が「定年・契約期間の満了」で、有期契約から入る人が一定数いることを踏まえると、1年での退職が特殊な行動というわけではない。

受付がきついのはどの勤務先ですか

公的統計に勤務先タイプ別の受付の離職率はない。判断材料になるのは、来客数の多さと受付の配置人数、そして受付以外の業務が付いているかどうかである。同じ職種名でも、この3つで拘束の密度が変わる。

次に読む

出典

  • 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」3 転職入職者の状況(表5 転職入職者が前職を辞めた理由別割合/表6 転職入職者の賃金変動状況別割合)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/25-2/index.html)
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)/短時間労働者 職種別1時間当たり所定内給与額(企業規模計10人以上)

その悩み、次の一歩に。LINEで無料相談

受付・コールセンター専門のアドバイザーが、あなたに合う職場探し・応募をLINEで無料サポート。新着求人もお届けします。

LINE友だち追加して無料相談

受付キャリアナビ(運営:求人アグリ研究所)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

目次