クリニック・病院受付の仕事内容|1日の流れと診療科ごとの違い

クリニック・病院受付の仕事内容|医療事務との違い・向いている人・未経験の始め方

医療機関の受付の仕事は、来院した患者の受付、保険資格の確認、会計、そして月初のレセプト業務でできている。ここまでは、どの医療機関でも変わらない。

変わるのは、その4つに1日どれだけの人数がぶつかってくるかと、その科でしか出てこない書類が何かである。同じ「医療受付」の求人票でも、病院とクリニックでは1日に会う患者数が4倍以上違い、診療科が変われば毎回確認する書類の種類まで変わる。

求人票を読むときに効くのは仕事内容の一覧ではなく、この2つの差のほうだ。

目次

病院とクリニックでは、1日に会う患者数が4倍違う

厚生労働省の令和5年医療施設(静態・動態)調査によると、令和5年10月1日現在で活動中の医療施設は179,834施設ある。内訳は病院8,122施設、一般診療所104,894施設、歯科診療所66,818施設である。

一方、同省の令和5年患者調査では、調査日に外来を受けた推計患者数は7,275.0千人。施設の種類別では病院1,516.9千人、一般診療所4,494.3千人、歯科診療所1,263.8千人だった。

1施設あたりに割り戻すと、性格の違いが出る

患者数を施設数で割ると、病院は1日あたり約187人、一般診療所は約43人、歯科診療所は約19人になる。

この差が、受付の働き方をほぼ決めている。1日187人の窓口では受付・会計・電話・レセプトが分業になり、担当が固定されやすい。1日43人の窓口では同じ人が全部を回す。求人票の「受付業務全般」という一語が指している範囲は、施設の規模で別物になっている。

無床の診療所が94.6%を占めている

一般診療所104,894施設のうち、無床は99,253施設で全体の94.6%にあたる。入院設備を持たない、いわゆる「街のクリニック」が圧倒的多数である。

つまり医療受付の求人の大半は、少人数で日中だけ回る職場のものになる。夜勤や病棟対応を前提にした働き方は、病院の側にしかない。

医療受付の1日は、3つの流れが重なってできている

窓口の作業は、来院した患者を通す流れ、会計を締める流れ、月をまたいで請求する流れの3本が同時に走っている。

来院から会計までの1本目と2本目

診察までの流れは、受付での保険資格確認、問診票の記入案内、カルテの準備、診察室への引き渡しで一区切りになる。診察が終わると、医師が入力した診療内容をもとに窓口負担を計算し、会計と次回予約の案内をする。

この2本は当日で閉じる。閉じないのが3本目だ。

月初に立ち上がる3本目

診療報酬は、患者から受け取る窓口負担だけでは完結しない。残りは審査支払機関を通じて保険者に請求する。この請求業務がレセプトで、前月分をまとめて月初に処理するため、毎月頭に業務量の山ができる。

医療受付の求人が「未経験可」と書きながら経験者を優遇しがちなのは、この3本目があるからである。1本目と2本目は数週間で覚えられるが、3本目は月に1度しか回ってこない。習熟に月数がかかる構造になっている。

なお、医療事務・医療クラーク・医療秘書といった呼び名が、この3本のどこまでを指すかは職場ごとに違う。呼び名の使い分けは医療事務・医療クラーク・医療秘書・受付の違いで整理している。

保険証の確認が「2系統」になっている

受付の入口にあたる資格確認は、ここ数年で作業そのものが変わった。

保険医療機関・薬局には令和5年4月からオンライン資格確認の導入が原則として義務づけられ、従来の健康保険証は2024年12月2日以降新たに発行されなくなった。

利用率47.26%という数字の読み方

厚生労働省が社会保障審議会医療保険部会に示した資料によると、令和7年10月のマイナ保険証の利用率(レセプト件数ベース)は47.26%だった。

半分に届いていない。この数字が意味するのは、窓口ではカードリーダーでの読み取りと、資格確認書などによる確認の2系統が並走しているということである。片方だけ覚えれば済む状態ではない。

未経験で入る側にとって、これは不利な話ばかりでもない。数年前に入った人も同じ切り替えを通っているため、この部分に関しては経験年数の差がつきにくい。

診療科が変わると、受付が覚える書類が変わる

ここからが、求人票の「クリニック受付」という言葉がいちばん大きく割れる場所である。

保険証以外に確認するものがある科

令和5年医療施設(静態・動態)調査で、一般診療所が標ぼうする診療科目別の施設数(重複計上)を見ると、内科64,747施設(一般診療所総数の61.7%)、小児科17,778施設(同16.9%)、皮膚科13,185施設(同12.6%)、整形外科12,298施設(同11.7%)と続く。

診療科 一般診療所の施設数 受付が追加で扱うもの
内科 64,747 特定健診・予防接種など保険外の会計
小児科 17,778 こども医療費の受給者証、予防接種の枠
皮膚科 13,185 自費診療と保険診療の混在
整形外科 12,298 労災・自賠責など健康保険を使わない受診
精神科 7,761 自立支援医療の受給者証と上限額管理票
耳鼻いんこう科 5,681 処置で診察後に再度呼ぶ患者の滞留管理
心療内科 5,314 同上(精神科)

いずれも「保険証を出して診察を受け、3割を払って帰る」という基本形から外れる患者が、その科では日常的に来るという意味である。

たとえば整形外科では、業務中の負傷で来た患者に健康保険を使えない。労災保険の療養の給付を受ける場合、患者は様式第5号の請求書を医療機関経由で労働基準監督署長に提出する扱いになる。この流れは整形外科・外科クリニックの受付の仕事内容で詳しく扱っている。

給料は「窓口までか、会計まで持つか」で分かれる

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査には「医療事務」という職種区分がない。医療機関の事務職は担当業務に応じて別の区分に振り分けられている。

業務範囲が広い区分ほど水準が上がる

統計上の職種 正社員の年収換算 パートの時給 平均勤続
受付・案内事務員 356万円 1,231円 8.6年
会計事務従事者 509万円 1,593円 12.7年
看護助手 (区分なし) 1,258円 7.4年
その他の保健医療サービス職業従事者 323万円 1,281円 6.4年

受付・案内事務員と会計事務従事者では、年収で153万円、時給で362円の開きがある。ただしこれは全産業の平均であって、医療機関に限った数字ではない。診療科別の集計も存在しない。

読み取れるのは方向性だけである。窓口対応で閉じる範囲より、会計と請求まで持つ範囲のほうが評価が高く出る。求人票で「受付のみ」「レセプトあり」のどちらなのかを確認する価値は、この差にある。

医療系の受付求人は医療・クリニック受付の求人で、勤務形態や診療科の条件から絞り込める。

未経験はどの規模から入るのが現実的か

受付・案内事務員の短時間労働者は84,580人で、フルタイムの84,880人とほぼ同数である。約半分がパート枠で回っている職種だと言える。

少人数の職場は、覚える範囲が広いかわりに早い

1日43人規模のクリニックは、受付・会計・レセプトを分けずに1人が担当する。範囲は広いが、月初のレセプトに最初から関われるため、3本目の流れを覚える速度は病院より速い。

病院はその逆で、担当が細かく分かれている。受付だけを担当した3年より、クリニックで全部を回した1年のほうが、次の転職で通用する範囲が広くなることがある。求人票の施設規模は、待遇よりも「何を覚えられるか」を左右する項目として読んだほうがいい。

よくある質問

医療事務の資格がないと応募できませんか

必須ではない。令和6年賃金構造基本統計調査に「医療事務」という職種区分が存在しないことからも分かる通り、法定の職種でも国家資格でもない。ただしレセプト業務を含む求人では、民間資格の学習歴が判断材料にされることはある。

病院とクリニックのどちらが未経験向きですか

覚える速度で選ぶならクリニック、分業された役割から入りたいなら病院になる。1施設あたりの1日の外来患者数は病院約187人、一般診療所約43人で、業務の分かれ方がまったく違う。

レセプトは毎日やる仕事ですか

前月分をまとめて月初に処理する業務なので、月に1度の山として来る。日々の入力の正確さがこの時期の負荷を決めるため、平常時の会計処理と地続きの仕事になる。

マイナ保険証だけ覚えれば足りますか

足りない。令和7年10月時点のマイナ保険証の利用率はレセプト件数ベースで47.26%で、それ以外の確認方法と並走している。窓口では両方の手順を扱う。

夜勤のある医療受付はありますか

一般診療所は104,894施設のうち94.6%が無床で、入院設備を持たない。夜間対応がある職場は病院側に限られる。

次に読む

出典

  • 厚生労働省「令和5(2023)年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」(令和5年10月1日現在/活動中の施設179,834施設)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/
  • 厚生労働省「令和5(2023)年 患者調査の概況」(令和5年10月実施/推計外来患者数7,275.0千人)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/index.html
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別の給与額/短時間労働者 職種別1時間当たり所定内給与額(企業規模計10人以上・産業計)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html
  • 厚生労働省保険局「マイナ保険証の利用促進等について」(第208回社会保障審議会医療保険部会 資料2・令和7年12月18日)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001614998.pdf
  • 厚生労働省「オンライン資格確認について」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08280.html

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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