歯科受付の仕事内容|リコール管理と自費診療がある窓口

歯科受付の仕事内容ときつさ|1日の流れ・向いている人・未経験の始め方

歯科医院の受付でやることは、来院の受付、保険証の確認、会計、月初のレセプト。作業の名前だけを並べれば、内科のクリニックと変わらない。

変わるのは、その窓口を誰が回しているかと、窓口で説明する金額の性質のほうだ。歯科診療所には専任の事務職員が1施設あたり0.38人しかおらず、来院する患者の4人に1人は治療の病名を持たずに来ている。

求人票の「歯科受付」という一語は、この2つの数字の上に立っている。

目次

歯科の窓口には、専任の事務職員がほとんどいない

1施設あたり5.1人。そのうち事務職員は0.38人

厚生労働省の令和5年医療施設(静態・動態)調査によると、令和5年10月1日現在の歯科診療所は66,818施設。そこで働く常勤換算従事者は343,620.9人で、1施設あたり5.14人になる。

職種別に割り戻すと、構成がはっきりする。

職種 常勤換算従事者数 1施設あたり
歯科衛生士 134,110.3人 2.01人
歯科医師 101,187.9人 1.51人
歯科業務補助者 65,233.7人 0.98人
事務職員 25,459.0人 0.38人
歯科技工士 8,750.4人 0.13人

同じ調査で一般診療所(医科)の事務職員は187,605.9人。104,894施設で割ると1施設あたり1.79人になる。歯科は医科の5分の1しかいない。

受付の多くは「歯科業務補助者」として数えられている

平均0.38人は、事務職員を置かない医院が多数でなければ出ない水準である。それでも窓口には人が立つ。統計上その人たちが入るのが、1施設あたり0.98人の「歯科業務補助者」だ。

歯科医院の求人が「歯科助手(受付)」という併記で出ることが多いのは、この構造そのままだ。窓口だけを担当する枠として設計されておらず、器材の準備や診療室の片づけと同じ枠で募集される。

来院する4人に1人は、痛くて来た人ではない

傷病分類の内訳を開くと、予防目的が23.4%を占める

厚生労働省の令和5年患者調査によると、調査日に歯科診療所で外来を受けた推計患者数は1,263.8千人。これを傷病分類別に開くと、次のようになる。

傷病分類 推計外来患者数 構成比
歯肉炎及び歯周疾患 536.2千人 42.4%
健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用 296.0千人 23.4%
う蝕(むし歯) 216.3千人 17.1%

歯科というと真っ先に浮かぶむし歯は3番目である。歯周疾患がその2.5倍あり、4分の1近くを占めるのは「健康状態に影響を及ぼす要因及び保健サービスの利用」、つまり治療の病名を持たない受診だ。

1日19人の窓口で、その4分の1を呼び戻している

外来患者1,263.8千人を66,818施設で割ると、1施設あたり1日およそ19人になる。一般診療所の約43人と比べて半分以下である。

19人のうち4人から5人が、予防や検診で来ている。ここが歯科の窓口の性格を決めている。痛みで駆け込む患者は放っておいても来るが、予防で来る患者は次の予約が入っていなければ来ない。この層を作っているのが、受付が管理するリコールである。

リコールの間隔は、診療報酬の側で決まっている

3か月に1回、あるいは月に1回という区切り

リコールは医院が好きな間隔で決めているわけではない。厚生労働省の令和6年度診療報酬改定資料を見ると、算定できる回数が処置ごとに定められている。

フッ化物歯面塗布処置は3月に1回。う蝕多発傾向者の場合は110点、初期の根面う蝕に罹患している患者の場合は80点、エナメル質初期う蝕に罹患している患者の場合は100点である。令和6年度改定で新設されたエナメル質初期う蝕管理料と根面う蝕管理料は、それぞれ30点で月に1回に限り算定できる。

3か月おきに来てもらう予約と、毎月来てもらう予約が別々に走っている。受付が予約表に入れる間隔は、この区切りをなぞっている。

継続管理の実績が、施設基準そのものになっている

令和6年度改定では、それまでの「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」の施設基準が見直され、「口腔管理体制強化加算」に組み替えられた。施設基準には、口腔機能管理に関する実績があること、歯科訪問診療料の算定または在宅療養支援歯科診療所との連携実績があること、歯科疾患の継続管理に係る適切な研修を受けた常勤の歯科医師が1名以上配置されていることが並ぶ。

この加算を届け出た医院では、エナメル質初期う蝕管理料と根面う蝕管理料に48点、口腔機能管理料に50点が上乗せされる。

継続して管理できているかどうかが、その医院の届出の可否と点数を動かしている。リコールはがきの発送や予約の電話は、届出要件を支える作業に直結している。

自費診療の説明が、窓口に回ってくる

インプラント手術を実施する歯科診療所は35.2%

令和5年医療施設(静態・動態)調査によると、令和5年9月中にインプラント手術を実施した歯科診療所は23,503施設で、歯科診療所総数の35.2%にあたる。3施設に1施設を超える。

インプラント、矯正、ホワイトニングは公的医療保険の給付対象ではない。窓口負担が3割で済む診療と、金額を医院が決める診療が、同じ受付の同じレジで処理される。

会計が2本立てになると、窓口の説明が増える

保険診療の会計は、点数が決まっているので計算に迷いがない。自費はそうならない。総額がいくらで、何回に分けて、いつ払うのか。治療計画そのものと金額が結びついているため、受付は診療内容を理解したうえで金額を説明する立場に置かれる。

同じ日に保険の処置と自費の処置が両方入ることもある。領収書を分ける必要があり、医療費控除の対象かどうかを患者から聞かれる場面も出てくる。受付・会計・レセプトという医療受付に共通する基礎はクリニック・病院受付の仕事内容に整理してある。

歯科衛生士と受付は、法律で職域が分かれている

歯科衛生士法が定めているのは業務独占

歯科衛生士法(昭和23年法律第204号)第2条は、歯科衛生士を「歯科医師の指導の下に、歯牙露出面及び正常な歯茎の遊離縁下の付着物及び沈着物を機械的操作によつて除去すること」「歯牙及び口腔に対して薬物を塗布すること」を業とする者と定めている。同法第13条は、歯科衛生士でなければこの業を行ってはならないと定める。

つまり歯石の除去やフッ化物の塗布は、資格を持つ人しか担当できない。リコールで来院した患者を実際に処置するのは歯科衛生士であり、受付はその予約枠を作る側に立つ。

給与は年収で50万円、パート時給で739円の差

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査(企業規模計10人以上・産業計)で両者を並べると、差がはっきり出る。

統計上の職種 正社員の年収換算 パートの時給 平均勤続
歯科衛生士 406万円 1,970円 6.1年
受付・案内事務員 356万円 1,231円 8.6年

年収の差は50万円だが、パート時給の差は739円ある。歯科衛生士の短時間労働者は27,810人で、一般労働者53,980人の半数を超える。同じ医院の中で、時給が739円違う短時間勤務者が並んで働いている状態は珍しくない。

資格の側へ移るには養成機関での修学と国家試験が要る。窓口側で条件を上げるなら、リコール管理・自費のカウンセリング・レセプトのどこまでを持つかという範囲の話になる。

求人票で確認したい3点

歯科の求人は職種名が揃っていない。次の3点が書かれていれば、業務範囲はほぼ特定できる。

  1. 診療室の補助を含むか。「歯科助手」の名前で募集されている場合、器材の準備や片づけが入る。
  2. リコール管理を担当するか。予約管理とはがき・電話での案内まで含むかどうかで、日中の作業量が変わる。
  3. 自費のカウンセリングを含むか。治療計画の金額説明を任される場合、覚える範囲は保険点数の外まで広がる。

3点とも書かれていない求人は、少人数の医院で全部を回す形が多い。1施設あたり5.14人という規模からすると、そちらが標準に近い。条件で絞り込むなら医療・クリニック受付の求人一覧で勤務時間や雇用形態から並べ替えられる。

よくある質問

歯科助手と歯科受付は違う仕事ですか

求人上は分かれていることもあるが、統計では分かれていない。令和5年医療施設調査で歯科診療所の事務職員は1施設あたり0.38人にとどまり、歯科業務補助者が0.98人いる。窓口だけを担当する専任枠は少なく、多くは兼任になる。

資格がないと働けませんか

受付・歯科助手に資格要件はない。ただし歯科衛生士法第13条により、歯石除去やフッ化物塗布は歯科衛生士でなければ行えない。担当できるのは受付・会計・予約管理・器材の準備までになる。

レセプトも担当することになりますか

医院による。1施設あたりの従事者が5.14人という規模では、受付がそのままレセプトまで持つ形が多い。呼び名と業務範囲の対応は医療事務・医療クラーク・医療秘書・受付の違いで整理している。

歯科の受付はきついと言われるのはなぜですか

1日の来院が約19人と少ないぶん、1人あたりに使う時間が長い。そこに自費の金額説明とリコールの予約管理が乗る。人数ではなく、1件ごとの説明量が負荷になりやすい構造だ。

次に読む

出典

  • 厚生労働省「令和5(2023)年 医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」(令和5年10月1日現在/歯科診療所66,818施設・常勤換算従事者343,620.9人・インプラント手術実施23,503施設)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/
  • 厚生労働省「令和5(2023)年 患者調査の概況」(令和5年10月/歯科診療所の推計外来患者数1,263.8千人・傷病分類別内訳)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/index.html
  • 厚生労働省「令和6年度歯科診療報酬改定の主なポイント」(フッ化物歯面塗布処置・エナメル質初期う蝕管理料・口腔管理体制強化加算)https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001213977.pdf
  • 歯科衛生士法(昭和23年法律第204号)第2条・第13条 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000204
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別の給与額/短時間労働者 職種別1時間当たり所定内給与額(企業規模計10人以上・産業計)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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