受付の一日の流れ・スケジュール例|勤務先タイプ別に比較

受付の一日の流れ・スケジュール例

受付の一日は、たいてい時刻の並びで説明される。朝の点検、開門、来客対応、昼の交代休憩、翌日の準備。

この並び自体は外れていない。ただ、実際の一日を決めているのは順番ではなく、時間の刻まれ方のほうである。厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、受付・案内事務員の1ヶ月は所定内実労働160時間、超過実労働7時間。残業がほとんど発生しないのに、事務系の職種の中で所定内が最も長いという組み合わせになっている。

一日の形は、この2つの数字から逆算できる。

目次

受付の8時間は、連続した8時間ではない

1日に割り戻すと、所定内8時間・残業21分になる

月20日勤務として割り戻すと、所定内は1日8時間ちょうど、超過は1日あたり21分になる。持ち帰りの作業もほとんど発生しない。時間の総量という点では、この職種は恵まれている側にある。

事務系の他職種と並べると、位置がはっきりする。

職種 1日の所定内実労働(20日換算) 1日あたりの残業
受付・案内事務員 8時間00分 21分
会計事務従事者 7時間51分 27分
事務用機器操作員 7時間48分 30分
総合事務員 7時間45分 30分
電話応接事務員 7時間42分 24分
秘書 7時間36分 24分

所定内が最も長く、残業が最も短い。秘書との差は1日24分で、月に直すと8時間ぶん受付のほうが長く席にいる計算になる。

席を離れる時間を、自分で決められない

窓口は人が立っていないと成立しない。この一点が、8時間の中身を決めている。

手元の作業は来客と電話のたびに止まり、休憩の時間帯は交代の相手の都合で動く。1時間で終わる予定の作業が1時間で終わる日はほとんどない。残業が少ないのに疲れるという感覚は、労働時間の長さではなく、この中断の頻度から来ている。きつさの内訳は受付の仕事はきついのかで分解した。

時間帯ごとに、中断の出どころが入れ替わる

自分で決められるのは、始業前と終業前だけである

一日のうち、作業の順番を自分で決められる時間帯は限られる。来客が来る前と、窓口が閉まったあとだ。

時間帯 自分で順番を決められる作業 中断の出どころ
始業前 受付まわりの点検、当日の来客予定と会議室の確認 ほぼ発生しない
午前 前日分の記録の入力、郵便物の仕分け 来客、電話、内線
交代での休憩 窓口を無人にできないため時間が動く
午後 書類の作成と整理、翌日の準備の着手 来客、電話、内線
終業前 当日分の記録の締め、翌日の来客準備 ほぼ発生しない

表の右の列を縦に読むと、中断が集中しているのは午前と午後の本体部分だとわかる。締切のある作業を午後に置くと来客に押し出されるため、朝の時間帯へ寄せる組み立てになりやすい。

始業前と終業前が短いことも効いてくる。一日のうち順番を自分で決められる時間が合計30分から1時間しかないなら、そこに置ける作業は前日からの持ち越しか、当日の締めのどちらかに限られる。新しく手をつける作業を朝の枠に入れると、その日のうちに終わらない。

昼の休憩が最も読みにくい

昼は、窓口の来客が減る時間帯であると同時に、担当者も不在になりやすい時間帯である。取り次ぎ先が捕まらないまま来客を受けることになるため、判断が必要な場面はむしろ増える。

受付が1人体制か複数体制かで、この時間帯の性質は変わる。複数体制なら交代で抜けられるが、1人体制では窓口に人を置いたまま食事を取る運用になる職場もある。求人票に配置人数の記載がなければ、面接で確認しておきたい項目になる。

パートの一日は、フルタイムとは別の形をしている

月13.7日・1日5.7時間という平均

同じ調査の短時間労働者の集計を見ると、受付・案内事務員の平均は月13.7日勤務・1日の所定内5.7時間だった。

区分 1ヶ月の勤務日数 1日の所定内実労働 1ヶ月の労働時間
フルタイム(一般労働者) 20日相当 8時間00分 160時間
パート(短時間労働者) 13.7日 5時間42分 約78時間

労働時間はフルタイムのほぼ半分である。週に直すと3.2日勤務にあたる。時給1,231円で計算すると月収は約9万6,000円になる。

一日を丸ごとではなく、時間帯で切り出す働き方になる

パートの枠がこの形になるのは、窓口の開いている時間に人を並べる必要があるからだ。診療時間や開館時間の全体を1人で埋めるのではなく、午前だけ、午後だけ、混雑する曜日だけといった単位で枠が作られる。

労働者数はフルタイム8万4,880人に対してパート8万4,580人で、受付職の49.9%が短時間勤務にあたる。パート側の平均年齢は50.1歳、勤続6.2年。この職種の一日を語るとき、想定すべき形は最初から2つある

勤務先タイプで、山が来る位置が変わる

統計の側でも、受付は2つの職業に分かれている

総務省の日本標準職業分類は、企業のフロントや図書館カウンター受付職員を小分類254「受付・案内事務員」に置き、娯楽施設のフロント係や映画館の案内係は小分類407「娯楽場等接客員」に回している。

座って記録を残す仕事と、立って人を捌く仕事。同じ「受付」でも、一日の疲れ方が違う。

254側の一日は、来客が途切れた時間に記録を進める形になる。作業は残っているが、進めるための時間が細切れになる。407側の一日は、記録より人の流れを止めないことが中心になる。列ができれば作業は後回しになり、列が消えれば一気に静かになる。同じ8時間でも、前者は密度が均されず、後者は波が大きい。

4つの系統で、来客の山が別の時刻に来る

来客の集まり方は、その施設が何の時間に合わせて動いているかで決まる。

  • オフィス系は、始業直後と昼休み明けの面会予定に山が来る
  • 医療系は、受付開始の直後と午後診の開始時刻に山が来る
  • 美容・サロン系は、予約枠の切り替わりごとに山が来る
  • 施設系は、開館直後と閉館前に山が来る

いずれも、募集要項の勤務時間帯から逆算できる。診療時間が午前と午後で分かれていれば来客は二峰になり、開館から閉館まで通しの施設なら山は入口と出口に寄る。50種類以上の勤務先ごとの違いは勤務先タイプ別の受付の仕事一覧にまとめてある。

求人票の勤務時間欄を、一日の形から読み直す

分単位の指定には理由がある

受付の求人には「8時50分から17時50分」のように、10分単位で始業時刻がずれた記載が出てくる。窓口を開ける時刻から逆算して点検の時間を確保しているためで、この10分が一日で唯一まとまった作業時間になることもある。

逆に、始業と窓口の開放が同時刻に設定されている募集は、準備を勤務時間の外で行う運用になっている可能性がある。ここは面接で確認しておく価値がある。

休憩と交代の書き方を見る

確認したいのは休憩時間の長さではなく、交代の相手がいるかどうかである。所定内が事務系で最も長い職種なので、席を離れられる仕組みがあるかどうかが一日の負荷を決める。

勤務時間や勤務形態から募集を絞り込む場合は企業受付・総合受付の求人で条件を指定できる。

よくある質問

受付の勤務時間は何時から何時までですか

公的統計に時刻の集計はない。分かるのは長さのほうで、フルタイムの所定内実労働は月160時間、20日勤務なら1日8時間になる。実際の時刻は、窓口を開ける時間に合わせて勤務先ごとに決まる。

受付は残業がありますか

超過実労働時間は月7時間で、比較した事務系職種の中で最も短い。1日あたり21分にあたる。窓口が閉まれば持ち帰る作業がないため、残業が伸びにくい構造になっている。

昼休みはきちんと取れますか

交代の相手がいるかどうかで変わる。受付が1人体制の職場では、窓口に人を置いたまま休憩を取る運用になることがある。求人票に配置人数の記載がなければ、面接で確認しておきたい。

パートの一日はどのくらいの長さですか

短時間労働者の平均は1日5時間42分、月13.7日である。フルタイムの半分弱の労働時間で、週3.2日勤務にあたる。午前だけ、午後だけといった単位で枠が作られることが多い。

一日で最も忙しい時間帯はいつですか

勤務先が何の時間に合わせて動いているかで変わる。医療系は受付開始直後と午後診の開始、オフィス系は始業直後と昼休み明け、施設系は開館直後と閉館前に集中しやすい。応募先の営業時間から先に見当をつけられる。

事務作業はいつ進めるのですか

来客が途切れた時間と、始業前・終業前になる。受付・案内事務員の所定内実労働は事務系で最も長い月160時間だが、この時間は連続していない。締切のある作業を任される募集なら、着手できる時間帯がどこにあるかを面接で確認しておきたい。

一日の流れは勤務先を変えても同じですか

人が来る、用件を聞く、取り次ぐ、記録するという反復は共通する。変わるのは山が来る時刻と、反復が崩れたときに何が起きるかである。医療系は患者の状態、施設系は時間帯の集中、サロン系は当日キャンセルが例外を作る。

次に読む

出典

  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計・企業規模計10人以上)(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html)
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」短時間労働者 職種別1時間当たり所定内給与額・実労働日数・1日当たり所定内実労働時間(企業規模計10人以上)
  • 総務省「日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)」小分類254 受付・案内事務員/407 娯楽場等接客員(https://www.e-stat.go.jp/classifications/terms/20/02/254)

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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