内科・皮膚科クリニックの受付がやることは、来院受付、保険資格の確認、会計、月初のレセプト。ここまでは他の診療科と同じで、共通部分は医療受付の1日と月初のレセプトに整理してある。
この2科で形が変わるのは会計のほうだ。同じ患者が毎月同じ日に来るので、その月にどの管理料を何回算定したかを見ないと金額が出ない。そのうえ皮膚科では、保険を使わない診療が同じ窓口に混ざる。保険診療は消費税が非課税で、自費診療は課税になる。
求人票の「受付・会計」という一語が、この科では2つの意味を持っている。
この2科の患者は、来なくなるまで通い続ける
総患者数と当日の外来患者数の比が、通院の間隔を映す
厚生労働省の令和5年患者調査には、調査日の推計外来患者数と、継続的に医療を受けている人を推計した総患者数の2つが載っている。総患者数は平均診療間隔を用いて算出されるため、当日の外来患者数に対する倍率が大きいほど通院の間隔が長い。
| 傷病分類 | 総患者数 | 調査日の外来患者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 内分泌,栄養及び代謝疾患 | 11,967千人 | 432.5千人 | 27.7 |
| 循環器系の疾患 | 22,101千人 | 842.2千人 | 26.2 |
| 皮膚及び皮下組織の疾患 | 5,653千人 | 314.2千人 | 18.0 |
| 呼吸器系の疾患 | 6,504千人 | 625.3千人 | 10.4 |
風邪で来る呼吸器系が10.4倍にとどまるのに対し、糖尿病や脂質異常症を含む内分泌系は27.7倍ある。同じ内科の窓口でも、数日で終わる患者と、何年も月1回で来る患者が同じ列に並んでいる。
高血圧だけで外来606.4千人、86.6%が診療所に来ている
内訳を開くとさらに偏りが見える。同調査で調査日に外来を受けた推計患者数は、高血圧性疾患が606.4千人、糖尿病が205.4千人、脂質異常症が162.0千人だった。高血圧性疾患のうち一般診療所は525.4千人で、86.6%を診療所が受け止めている。
皮膚及び皮下組織の疾患も外来314.2千人のうち一般診療所が273.9千人で、87.2%になる。病院に流れる患者は少数派で、街のクリニックの窓口が最初で最後の接点になる。
長く通う患者が多い窓口では、顔と名前が一致していく。カルテを出す前に用件の見当がつく状態は、この科では例外ではなく標準になる。
同じ相手との関係が続く窓口という点では、入居者の家族が繰り返し訪れる介護施設・老人ホーム受付の仕事内容が近い位置にある。ただしそちらで記録が義務づけられているのは診療の内容ではなく、苦情の受付と対応の経過のほうである。
月に何回算定したかを見ないと、会計が組めない
生活習慣病管理料は月1回、特定疾患療養管理料は月2回
令和6年度診療報酬改定による医科診療報酬点数表では、定期通院の患者に算定する管理料に回数の上限が置かれている。
| 管理料 | 点数 | 算定できる回数 |
|---|---|---|
| 生活習慣病管理料(Ⅰ)糖尿病を主病とする場合 | 760点 | 月1回 |
| 生活習慣病管理料(Ⅰ)高血圧症を主病とする場合 | 660点 | 月1回 |
| 生活習慣病管理料(Ⅰ)脂質異常症を主病とする場合 | 610点 | 月1回 |
| 生活習慣病管理料(Ⅱ) | 333点 | 月1回 |
| 特定疾患療養管理料(診療所の場合) | 225点 | 月2回 |
生活習慣病管理料は、許可病床数200床未満の病院または診療所に限って算定でき、患者の同意を得て治療計画を策定したうえで月1回とされている。生活習慣病管理料(Ⅰ)を算定した月から6か月以内は(Ⅱ)を算定できないという条件も付く。
つまり同じ患者・同じ病名でも、月内の何回目の来院かで会計が変わる。窓口で見るのは今日の診療内容だけではなく、その月の履歴になる。
皮膚科にも月1回の管理料がある
皮膚科側にも同じ構造がある。皮膚科特定疾患指導管理料は(Ⅰ)250点・(Ⅱ)100点で、それぞれ月1回に限り算定する。算定できるのは皮膚科または皮膚泌尿器科を標榜する保険医療機関で、皮膚科等を担当する医師が計画的な医学管理を継続して行った場合とされている。
初診料を算定する初診の日、およびその日から1か月以内に行った指導の費用は初診料に含まれる。初診なのか再診なのか、初診から1か月を過ぎているのかで扱いが分かれる。日付の管理が、そのまま金額の管理になる。
保険と自費で、消費税の扱いが分かれる
非課税になるのは保険の医療だけ
国税庁のタックスアンサーによると、消費税の非課税取引には「健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など」が含まれる。一方で「美容整形や差額ベッドの料金および市販されている医薬品を購入した場合は非課税取引に当たりません」と明記されている。
会計の作りが変わるのはここだ。保険診療の窓口負担には消費税が乗らず、自費の施術や物品には乗る。同じレジで両方を扱う以上、金額の出し方は2系統になる。
皮膚科の看板は、自費の側に伸びている
その2系統が、皮膚科では年々近づいている。
令和5年医療施設(静態・動態)調査によると、一般診療所で皮膚科を標ぼうする施設は13,185で、令和2年の12,410から775施設増えた。増加率6.2%は、一般診療所全体の2.2%を大きく上回る。同じ期間に美容外科を標ぼうする施設は1,404から2,016へ、612施設・43.6%増えている。全診療科のなかで最も高い増加率である。
美容外科と皮膚科は別の標ぼう科目なので、この2つの増加を同じ動きとして扱うことはできない。ただし窓口の側から見ると、保険外の会計を扱う職場が増えている方向は共通している。求人票で「自費カウンセリングあり」と書かれていれば、覚える範囲は保険診療だけの職場より広い。
内科64,747・皮膚科13,185という母数
求人の入口としては、この2科がいちばん広い
令和5年医療施設調査で、一般診療所が標ぼうする診療科目別の施設数は内科が64,747で最も多く、一般診療所総数104,894の61.7%を占める。皮膚科13,185は12.6%で、内科・消化器内科・小児科に次ぐ規模になる。
糖尿病内科(代謝内科)も4,196から4,647へ451施設・10.7%増えた。慢性疾患を専門に掲げる診療所が増えている点は、先ほどの通院間隔の数字と向きが揃っている。
一般診療所の事務職員は常勤換算で18万人を超える
同調査の職種別常勤換算従事者数によると、一般診療所の事務職員は187,605.9人だった。看護師177,361.0人、准看護師74,826.7人を上回る。
診療所で働く事務職の母数としては、看護職より多い。窓口の求人が絶えないのは、この人数が毎年入れ替わりながら維持されているからである。
給料は診療科ではなく、担当する範囲で動く
統計に内科・皮膚科という区分はない
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査に「医療事務」という職種区分はなく、医療機関の窓口業務は担当範囲に応じて別の区分に振り分けられる。
| 統計上の職種 | 正社員の年収換算 | パートの時給 | 平均勤続 |
|---|---|---|---|
| 受付・案内事務員 | 356万円 | 1,231円 | 8.6年 |
| 会計事務従事者 | 509万円 | 1,593円 | 12.7年 |
| その他の保健医療サービス職業従事者 | 323万円 | 1,281円 | 6.4年 |
いずれも全産業の平均で、診療科別の集計は存在しない。内科だから、皮膚科だからという差の裏づけはない。読み取れるのは、窓口で閉じる範囲より会計・請求まで持つ範囲のほうが評価が高く出る方向性だけである。条件から絞るなら内科・皮膚科のクリニック受付を探せる医療受付の求人で勤務形態を指定できる。
よくある質問
内科と皮膚科では、受付の仕事が違いますか
窓口業務そのものは共通する。違いは会計側にあり、皮膚科では保険を使わない診療が混ざる。消費税は保険診療が非課税、自費が課税で扱いが分かれるため、レジの組み立てが2系統になる。
管理料の算定回数は受付が管理するのですか
算定するのは医療機関で、窓口はその前提になる履歴の確認を担う。生活習慣病管理料は月1回、特定疾患療養管理料は診療所の場合で月2回と上限が決まっているため、その月に何回目の来院かが金額に影響する。
患者との会話が多い科ですか
通院の間隔が短い患者が繰り返し来る。総患者数と調査日の外来患者数の比は内分泌系で27.7倍、循環器系で26.2倍にのぼり、月1回のペースで長期間通う人が多い層である。同じ人に何度も応対する前提で組まれた窓口になる。
未経験でも入りやすいですか
一般診療所で内科を標ぼうする施設は64,747、皮膚科は13,185ある。求人の母数としては医療受付のなかで最も広い。一般診療所の事務職員も常勤換算187,605.9人で、看護師を上回る規模がある。
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出典
- 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定 別表第一 医科診療報酬点数表」(生活習慣病管理料・特定疾患療養管理料・皮膚科特定疾患指導管理料)https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001251499.pdf
- 国税庁「タックスアンサー No.6201 非課税となる取引」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm
- 厚生労働省「令和5年患者調査の概況」(令和5年10月実施/推計患者数・総患者数)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/index.html
- 厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査の概況」(診療科目別は重複計上/職種別常勤換算従事者数)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/23/
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(企業規模計10人以上・産業計)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html
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