郵便局の受付・窓口の仕事内容|郵便と金融の兼務

郵便局の受付・窓口の仕事内容|1日の流れ・向いている人・未経験の始め方

郵便局の窓口は、郵便物とゆうパックの引受け、切手や収入印紙の販売、貯金の預入と払戻し、送金の受付、保険の手続きを担う。

この並びを見て「業務範囲が広すぎないか」と思うなら、その感覚は正しい。ただ、広いのは会社の方針ではなく法律の定めによる。日本郵便株式会社法は、郵便局を「郵便窓口業務、銀行窓口業務及び保険窓口業務を行う営業所」と定義している(第2条4項)。3つを1つの窓口で扱うところまでが、郵便局という施設の定義に含まれている。

求人票を読むときに効くのは、この構造である。

目次

郵便局の窓口が郵便と金融を兼ねているのは、法律で決まっている

窓口の担当範囲を決めているのは店舗ごとの都合ではない。

郵便局の定義そのものに3つの業務が入っている

日本郵便株式会社法第4条は、同社が営む業務として郵便の業務、銀行窓口業務、保険窓口業務、国の委託を受けて行う印紙の売りさばきを挙げている。さらに第5条は、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務、簡易に利用できる生命保険の役務を「郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務」を同社に課している。

一体的に、という一語が窓口の設計を決めている。用件ごとに別の建物へ回すことが制度上できないため、同じカウンターに郵便と金融が並ぶ。

銀行窓口業務は「銀行代理業」として営まれる

貯金の受付は、郵便局が自前で預金を集めているのではない。同法第2条2項は、銀行窓口業務を、関連銀行を所属銀行として営む銀行代理業と定義している。つまり窓口に立つ人は、銀行の代理として契約の締結を取り次ぐ立場になる。

この位置づけがあるため、金融分野の取扱いには社内資格や研修が設定される。未経験で入っても、扱える範囲が入社直後から全開になるわけではない。求人票に「金融業務は研修後」と書かれているのは、この事情による。

扱う金融の範囲は貯蓄・送金・決済に限られている

第5条が列挙しているのは、簡易な貯蓄と送金と債権債務の決済、そして簡易な生命保険である。融資の相談は、ここには入っていない。同じ「金融の窓口」でも、銀行の受付・窓口の仕事内容とは扱う商品の幅が違う。

1日の中で、用件はどう入れ替わるか

窓口の混み方には、時間帯による偏りがある。

前半は郵便、後半は差し出しと集荷の締切

開局直後は、貯金の記帳や払戻し、年金の受取に来る利用者が並ぶ。昼をはさんで郵便物の差し出しが増え、夕方は当日発送の締切に向けて窓口が立て込む。ゆうパックの引受け、書留の受付、料金の計算。ここで時間を取るのは、規格外の荷物と、宛先の記載が不十分な郵便物の扱いである。

用件の系統 窓口での主な処理 混みやすい時間帯
郵便・荷物 引受け、料金計算、切手と印紙の販売、書留の受付 昼過ぎから締切前
貯金・送金 預入、払戻し、通帳の繰越、送金の受付 開局直後
保険 契約内容の照会、住所変更などの手続き 予約・随時
事務 現金と証書の照合、日締めの精算 閉局後

閉局後の精算が残る点は、小売の店舗と違う。現金と証券類を扱う以上、数が合うまで帰れない日がある。

月初と年末に山が来る

年金の支給日、月初の各種払込み、年賀状の時期。窓口の繁忙は暦に紐づいている。年末年始は郵便側の山、月初は金融側の山と、山の出所が別々にあることが、この職場の特徴になる。

直営局と簡易郵便局では、雇い主が違う

「郵便局の求人」を探すとき、最初に分かれるのはこの2つである。

24,185局のうち4,052局は委託先が運営している

総務省の令和7年版情報通信白書によると、2024年度末の郵便局数は2万4,185局で、内訳は直営の郵便局が2万133局、簡易郵便局が4,052局だった。全体の約17%が簡易郵便局にあたる。

簡易郵便局の受託者は自治体や協同組合

簡易郵便局法第3条は、日本郵便が郵便窓口業務と印紙の売りさばきを他の者に委託できると定め、第4条は受託者の資格を地方公共団体、農業協同組合、漁業協同組合、消費生活協同組合、そして十分な社会的信用と業務遂行能力を有する者に限っている。窓口に立つ人は、日本郵便の社員ではなく受託者側の人になる。

同法第2条が定める郵便窓口業務は、郵便物の引受け、郵便物の交付、郵便切手類の販売とそれに付随する業務である。銀行窓口業務と保険窓口業務は、受託者がそれを行う場合に限って郵便局とみなされる(第7条2項)。応募先が直営局か簡易郵便局かで、雇用主も扱う業務も変わる。

郵便局の窓口が大変と言われる理由

負荷の中身は、取扱量の減少と、金融を扱うことの責任に分かれる。

郵便は減り、窓口は残る

同じ白書によれば、2024年度の総引受郵便物等物数は169億通・個だった。日本郵便(連結)の事業別では、郵便・物流事業の営業収益2兆808億円に対して営業利益は▲383億円、郵便局窓口事業は営業収益1兆87億円に対して営業利益231億円となっている。

郵便が赤字で窓口が黒字、という並びは直感に反する。ただ、第6条が「あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない」と定めている以上、取扱量が減っても局は残る。窓口の人員配置が、郵便物の増減とは別の理屈で決まっていることの意味は小さくない。

現金と本人確認を扱う緊張

貯金の払戻し、送金、保険の手続き。いずれも本人確認と記録が伴う。金額の誤りや確認の漏れは、その場で気づかなければ後から取り返しにくい。窓口の負荷は、接客の量よりも、この確認作業の密度から来る。

給料の目安はどのくらいか

郵便局の窓口だけを取り出した賃金統計は公表されていない。目安になるのは職種としての水準である。

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査(産業計・企業規模計10人以上)では、受付・案内事務員のフルタイム勤務8万4,880人について、きまって支給する現金給与額が25万6,500円、年間賞与が48万5,800円で、年収換算は約356万円だった。短時間労働者は8万4,580人で1時間当たり所定内給与額1,231円、平均年齢50.1歳、勤続6.2年である。

区分 数値 母数
フルタイムの年収換算 約356万円 84,880人
短時間労働者の時給 1,231円 84,580人
短時間労働者の月の実労働日数 13.7日 同上
短時間労働者の1日の所定内労働時間 5.7時間 同上

短時間の枠は月13.7日・1日5.7時間が平均で、フルタイムに近い勤務を前提にした数字ではない。郵便局の窓口募集も期間雇用社員の形が多く、勤務日数の設定が待遇の実質を決める。オフィス系の窓口と条件を並べるなら企業受付・総合受付の求人を探すところから比較すると幅がつかめる。

未経験から郵便局の窓口を始めるには

応募経路は、直営局と簡易郵便局で分かれる。

応募先の見分け方

直営局は日本郵便の期間雇用社員などの枠で募集され、応募先は同社になる。簡易郵便局は受託者が募集するため、自治体や農協の求人として出ることがある。局名だけでは判別しにくいので、募集元の法人名を確認するのが早い。

求人票で確認したい4点

  • 担当が郵便窓口のみか、貯金・保険まで含むか
  • 直営局か簡易郵便局か、募集元の法人名
  • 契約期間と更新の条件
  • 現金の取扱いと閉局後の精算が業務に含まれるか

4点のうち最初の項目が、その後の研修量を左右する。金融まで担当する枠では社内資格の取得が前提になり、覚える範囲が郵便窓口だけの場合の数倍になる。研修期間中の待遇が別建てになっていないかも、あわせて確かめておきたい。

よくある質問

郵便局の窓口に資格は必要ですか

応募時点で必須の公的資格はない。ただし銀行窓口業務は日本郵便株式会社法第2条2項の定める銀行代理業として営まれるため、金融分野の取扱いには社内の研修と認定が設定される。

郵便の窓口だけを担当することはできますか

簡易郵便局では、簡易郵便局法第2条が定める郵便物の引受け・交付・郵便切手類の販売が業務の中心になる。直営局でも担当の分け方はあるが、募集要項の業務範囲の記載を確認するのが確実である。

郵便物が減っていると聞きますが、募集は減りますか

2024年度の総引受郵便物等物数は169億通・個で減少が続いている。一方、日本郵便株式会社法第6条は全国あまねく郵便局を設置する義務を定めており、局数は2万4,185局で横ばいに推移している。取扱量と窓口の数は同じ動きをしていない。

簡易郵便局と直営局はどちらが働きやすいですか

比べる軸が違う。簡易郵便局は受託者が地方公共団体や農業協同組合などに限られ、雇用主も待遇もその法人の基準による。直営局は日本郵便の枠組みで、扱う業務の範囲が広い。

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出典

  • 日本郵便株式会社法(平成17年法律第100号)第2条2項・4項、第4条、第5条、第6条。郵便局の定義(郵便窓口業務・銀行窓口業務・保険窓口業務を行う営業所)、業務の範囲、責務、郵便局の設置義務
  • 簡易郵便局法(昭和24年法律第213号)第2条、第3条、第4条、第7条2項。郵便窓口業務の定義と委託、受託者の資格(地方公共団体・農業協同組合・漁業協同組合・消費生活協同組合ほか)
  • 総務省「令和7年版 情報通信白書」第Ⅱ部第12節 郵政事業・信書便事業の動向。2024年度末の郵便局数24,185局(直営20,133局・簡易郵便局4,052局)、2024年度の総引受郵便物等物数169億通・個、日本郵便(連結)の郵便・物流事業 営業収益2兆808億円・営業利益▲383億円、郵便局窓口事業 営業収益1兆87億円・営業利益231億円
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」受付・案内事務員(産業計・企業規模計10人以上)。一般労働者84,880人・年収換算約356万円、短時間労働者84,580人・時給1,231円・実労働日数13.7日・1日5.7時間

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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