空港のグランドスタッフ・受付の仕事内容|搭乗手続きとシフト

空港のグランドスタッフ・受付の仕事内容|1日の流れ・向いている人・未経験の始め方

空港のグランドスタッフは、搭乗手続き(チェックイン)と手荷物の受託、搭乗口での案内と改札、到着後の手荷物に関する対応、遅延や欠航が出たときの振替の案内を担う。

受付の求人を探していてこの職種にたどり着いた人には、先に伝えておきたいことがある。グランドスタッフは、統計上「受付」ではない。総務省の日本標準職業分類では、受付・案内事務員とは別の中分類に置かれている。

とはいえ、応募先として無関係なわけでもない。窓口で用件を聞き取り、書類と本人を照合し、列を捌く。この3つは受付の仕事とそのまま重なる。分類の違いが待遇に出る一方で、動きの重なりは求人票からは見えにくい。

目次

グランドスタッフは、統計上「受付」とは別の職種である

日本標準職業分類では旅客・貨物係事務員

総務省の日本標準職業分類(平成21年12月改定)では、中分類30「運輸・郵便事務従事者」の下に小分類301「旅客・貨物係事務員」が置かれている。定義は「駅・自動車発着所・桟橋・空港・荷扱所などの運輸機関において、出札・改札・小荷物・貨物の受渡手続などの事務の仕事に従事するもの」。例示には「旅客係(鉄道、航空、船舶)」が明記されている。

空港のカウンターで搭乗手続きをする仕事は、この区分に入る。

受付・案内事務員は別の中分類にある

一方の受付・案内事務員は、一般事務従事者の側に置かれている。求人サイトのカテゴリで「受付」と「空港・航空」が分かれていることがあるのは、職業分類の段階から別扱いになっているためである。

分類が違うと、比べる数字も変わる

厚生労働省の賃金構造基本統計調査も職業分類に沿って集計している。したがって「空港のグランドスタッフの平均年収」を知りたいときに見るべき数字は、受付・案内事務員ではなく運輸・郵便事務従事者のほうになる。ただしこの区分には郵便事務員や駅の係員も含まれる。数字の読み方には後で戻る。

搭乗手続きの締切は、法律の側から決まっている

なぜ出発の何十分も前にカウンターが締まるのか。この問いの答えは、航空会社の都合ではなく法律にある。

保安検査を受けなければ搭乗できない

航空法第131条の2の5第6項は、国土交通省令で定める者が行う検査を受けた後でなければ航空機に搭乗してはならないと定めている。同条第4項では、危険物等所持制限区域に立ち入る場合も同じく検査を受けた後でなければならないとされている。さらに第131条の2の6は、預入手荷物についての検査を定めている。

保安検査は任意の手続きではなく、法律上の要件である。

チェックインと保安検査は別の工程

カウンターでの搭乗手続きが終わっても、旅客はそのまま搭乗できない。保安検査を通り、搭乗口まで移動する時間が要る。カウンターの締切が出発時刻よりかなり前に置かれているのは、この後段の工程を逆算しているからである。

締切を過ぎた人への対応が窓口に来る

締切の理由が法律にあるということは、窓口の裁量で動かせないということでもある。「あと5分なのに」という申し出に対して、できることとできないことを分けて説明する場面が出てくる。制度を伝える側に立つという点で、公的機関の窓口と負荷の質は近い。

給料と労働時間は受付職とどう違うか

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査(産業計・企業規模計10人以上)で、2つの職種を並べる。

区分 運輸・郵便事務従事者 受付・案内事務員
年収換算(一般労働者) 約506万円 約356万円
所定内実労働時間 161時間 160時間
超過実労働時間 13時間 7時間
平均勤続年数 14.2年 8.6年
労働者数(一般労働者) 202,380人 84,880人
短時間労働者の時給 1,263円 1,231円

残業は受付職のおよそ2倍

年収の差は150万円あるが、その内訳を見ると超過実労働時間が13時間と7時間で開いている。所定内の労働時間はほぼ同じなので、差がついているのは時間外のほうである。定時で終わる仕事を探しているなら、この数字は先に見ておきたい。

勤続年数は14.2年

受付・案内事務員の8.6年に対して5.6年長い。入れ替わりが少なく、続けている人が多い職種ということになる。求人の出方も、大量採用より定期的な補充に近い形になりやすい。

母集団には郵便事務員も含まれる

この区分の一般労働者20万2,380人のうち男性は14万4,420人で71.4%を占める。受付・案内事務員は女性が79.4%であり、構成がまったく違う。運輸・郵便事務従事者には駅の係員や郵便事務員が含まれるため、空港のグランドスタッフだけを取り出した数値ではない。目安として扱うのが妥当な範囲になる。

語学が要るのはどの場面か

訪日外客数は2025年に4,268万人

日本政府観光局の訪日外客統計によると、2025年の訪日外客数は4,268万3,837人で前年比15.8%増だった。コロナ禍前の2019年(3,188万2,049人)の1.34倍にあたる。空港のカウンターで外国語を使う頻度は、この数字の動きにほぼ連動する。

空港は97か所あり、必要度は同じではない

国土交通省の空港一覧(令和8年4月1日現在)では、拠点空港が28(会社管理4・国管理19・特定地方管理5)、地方管理空港が54、その他の空港が7、共用空港が8となっている。合計97か所。国際線が就航する空港と国内線のみの空港では、応対で英語を使う場面の数が大きく変わる。

求人票に語学要件が書かれていない募集は、国内線中心の配置である可能性がある。電話で英語を使う仕事と比べたい場合は英語を使うコールセンターの仕事が近い。

受付の経験は、どこで効くのか

職種の分類が違っても、動きが重なる部分はある。

用件を聞いて処理に振り分ける

「予約の変更をしたい」という申し出の中身は、便の変更、名前の訂正、座席の指定と分かれる。どれに当たるかを短いやり取りで見極める作業は、来客の用件を聞いて担当部署へつなぐ受付の動きと同じ構造にある。

書類と本人を照合する

搭乗券と身分証、国際線なら旅券。記載と目の前の人を突き合わせる作業は、入館証の発行や来訪者の確認と手順が近い。

列が伸びているときの判断

締切が迫っている列と、時間に余裕のある列を分ける。混雑した受付を回した経験は、この場面でそのまま使える。施設のインフォメーション業務と並べて条件を見るならホテル・施設・インフォメーションの求人が近い比較対象になる。

未経験から空港のグランドスタッフを目指すには

雇用主は航空会社とは限らない

空港のカウンターに立つ人が全員その航空会社の社員というわけではない。地上業務を受託する会社(グランドハンドリング会社)が担当している場合があり、応募先によって雇用主も待遇も変わる。求人票の社名と業務内容を照らして確認したい。

求人票で確認したい4点

  • 勤務が国際線か国内線か(語学要件と勤務時間が変わる)
  • 早番の始業と遅番の終業の時刻
  • 雇用主が航空会社か、地上業務を受託する会社か
  • 手荷物の取り扱いなど、カウンター以外の業務が含まれるか

4点のうち先に効くのは2番目である。始発便と最終便に合わせてシフトが組まれるため、始業と終業の時刻が通勤手段の始発・終電と噛み合うかどうかが、続けられるかを決める。

よくある質問

グランドスタッフは受付の仕事に含まれますか

職業分類の上では別である。総務省の日本標準職業分類で、空港の搭乗手続きは中分類30「運輸・郵便事務従事者」の小分類301「旅客・貨物係事務員」に分類される。受付・案内事務員とは別の区分になる。ただし窓口での聞き取りや本人確認といった動きは共通する。

グランドスタッフの年収はどのくらいですか

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査で、運輸・郵便事務従事者の一般労働者20万2,380人の年収換算は約506万円だった。ただしこの区分には郵便事務員や駅の係員が含まれており、空港のグランドスタッフだけの数値ではない。

英語ができないと応募できませんか

配置による。国内線中心の空港では語学要件を設けていない募集がある。一方で2025年の訪日外客数は4,268万3,837人と過去最高を記録しており、国際線を扱う空港では外国語での応対の場面が増えている。求人票の応募資格で判断できる。

なぜ搭乗手続きの締切が早いのですか

保安検査を通る時間が必要なためである。航空法第131条の2の5第6項は、定められた検査を受けた後でなければ航空機に搭乗してはならないと定めている。チェックインと保安検査は別の工程であり、締切は後段の工程から逆算して置かれている。

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出典

  • 総務省「日本標準職業分類(平成21年12月改定)」中分類30 運輸・郵便事務従事者/小分類301 旅客・貨物係事務員(駅・自動車発着所・桟橋・空港・荷扱所などの運輸機関における出札・改札・小荷物・貨物の受渡手続などの事務。例示に「旅客係(鉄道、航空、船舶)」)
  • 航空法(昭和27年法律第231号)第131条の2の5第4項・第6項(保安検査を受けた後でなければ危険物等所持制限区域に立ち入り、また航空機に搭乗してはならない)、第131条の2の6(預入手荷物検査)
  • 国土交通省「空港一覧」(令和8年4月1日現在)。拠点空港28(会社管理4・国管理19・特定地方管理5)、地方管理空港54、その他の空港7、共用空港8
  • 日本政府観光局(JNTO)「訪日外客統計」。2025年の訪日外客数42,683,837人(前年比15.8%増)、2024年36,870,148人、2019年31,882,049人
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(産業計・企業規模計10人以上)。運輸・郵便事務従事者 一般労働者202,380人(男144,420人)・年収換算約506万円・所定内実労働161時間・超過13時間・勤続14.2年、短時間労働者72,520人・時給1,263円/受付・案内事務員 一般労働者84,880人(女67,390人)・年収換算約356万円・所定内実労働160時間・超過7時間・勤続8.6年、短時間労働者84,580人・時給1,231円

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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