テレアポ・テレマーケティングの仕事|違いと法規制

テレアポ・テレマーケティングの仕事|違い・きつさ・向いている人

結論から書く。テレアポは電話でアポイントを取る業務、テレマーケティングは電話を使って市場に働きかける業務の総称である。前者は後者の一部にあたる。コールセンターは業務ではなく、それらを置く場所を指す。

ただし、この整理は求人票を読むときにあまり効かない。3語は現場でほぼ入れ替え可能に使われており、職種名からは日々の中身が読み取れないからだ。

効くのは別の線である。かけた電話が特定商取引法の「電話勧誘販売」に当たるかどうか。当たれば、名乗り方から断られたあとの振る舞いまでが法律で決まる。当たらなければ決まらない。同じ発信の仕事でも、この一点で制約がまったく違う

目次

テレアポ・テレマーケティング・コールセンターの3語はどう関係しているか

用語の整理から始める。国の分類は、この3つを区別していない。

職業分類ではすべて同じ箱に入る

総務省の日本標準職業分類(平成21年12月統計基準設定)は、大分類C「事務従事者」の中分類25「一般事務従事者」の下に、小分類256「電話応接事務員」を置いている。説明はこうだ。「電話の呼び出し・交換・取次ぎの仕事や電話による苦情、照会への対応、アポイントの取り付けなどの仕事に従事するもの」。

職業例として挙げられているのは、電話交換手、コールセンターオペレーター、テレフォンアポインター、調査員(電話によるもの)、通信販売受付事務員(電話によるもの)である。

テレフォンアポインターもコールセンターオペレーターも、同じ小分類に同居している。統計はこの2つを分けていない。したがって「テレアポの平均年収」という数字は公的統計には存在しない。

業務の広さで並べると入れ子になる

指しているもの 範囲
コールセンター 電話業務を集約して置く組織・拠点 受信も発信も含む
テレマーケティング 電話を使って市場に働きかける活動全般 販売勧誘・調査・来場促進・既存顧客フォロー
テレアポ 訪問や商談の約束を取り付ける発信業務 テレマーケティングの一部

外側から順に、コールセンター、テレマーケティング、テレアポとなる。テレマーケティングは販売だけを指す語ではなく、市場調査やイベント集客も含む。

求人票では区別されない

問題は、この入れ子が求人票に反映されないことである。「テレマーケティングスタッフ」という職種名の仕事が、実際には新規開拓のテレアポだけということもあれば、既存顧客への案内だけということもある。

読み取るべきは職種名ではなく、リストの性質と成果指標である。誰にかけるのか、何をもって成果とするのか。この2つが書かれていない求人票は、書かない理由があると考えたほうがいい。受信と発信の対比はインバウンドとアウトバウンドの違いで分解した。

発信の仕事は、業界の中では少数派である

「コールセンター=売り込みの電話をかける仕事」という理解は広い。業界の統計を見ると、この理解は実態からかなりずれている。

アウトバウンド中心は9社・13.4%

日本コンタクトセンター協会(CCAJ)が2025年度に実施したコンタクトセンター企業実態調査は、コールセンターの受託企業109社を対象に68社が回答したものである(回収率62.4%・2025年6月16日〜7月23日実施)。

この調査で、電話業務における受信と発信の比率(売上ベース)を尋ねた結果はこうなっている。

区分 社数(N=68)
インバウンドのみ 2社
インバウンドの方が多い 55社
ほぼ同じ 1社
アウトバウンドの方が多い 8社
アウトバウンドのみ 1社
非公開 1社

非公開を除く67社のうち、アウトバウンド中心は9社で13.4%にとどまる。インバウンド中心は57社、85.1%である。

求人の母数はこの比率におおむね従う。発信の仕事を探すなら、募集の絶対数が少ない側から選ぶことになる。件数の少なさは、条件の比較がしにくいという形で効いてくる。

受託内容から見た発信業務の内訳

同調査で、センター業務の受託内容を尋ねた結果(複数回答)のうち、発信を伴うものはこうなっている。

受託内容 社数 割合
営業サポート 38社 55.9%
商品勧誘等 37社 54.4%
市場調査 27社 39.7%
来場促進 20社 29.4%

参考までに、受信中心の業務はカスタマーサポートが64社(94.1%)、問い合わせ受付が61社(89.7%)で、いずれも9割前後に達する。発信系は5割から3割の帯に並ぶ。

商品勧誘等が54.4%であるのに対し、市場調査が39.7%、来場促進が29.4%と続く。発信業務の3割から4割は、物を売る電話ではない。この事実は、後で法律の話をするときに効いてくる。

「テレアポ=コールセンターの典型」という理解は母数と合わない

受信85.1%、発信13.4%という偏りに、発信の中でも勧誘以外が一定割合を占めるという構成が重なる。売り込みの電話をかける仕事は、コールセンター業務全体の中ではかなり小さな区画になる。

もっとも、小さいから楽というわけではない。募集が少ない分、案件ごとの当たり外れが大きくなる。全体像はコールセンターの仕事内容で整理している。

その電話が「電話勧誘販売」に当たるかで、制約がまったく変わる

ここから法律の話に入る。発信の仕事を選ぶとき、最初に確かめるべきはこの一点である。

電話勧誘販売の定義

消費者庁の特定商取引法ガイドは、電話勧誘販売を「事業者が電話で勧誘を行い、申込みを受ける取引」と説明している。電話を切ったあとに郵便等で申し込みを受けた場合も対象になる。

対象になれば、事業者には行政規制がかかり、契約した消費者には民事上の救済が用意される。かける側は、この規制の中で働くことになる。

事業者間取引は適用除外になる

見落とされやすいのが適用除外である。特定商取引に関する法律第26条第1項第1号は、売買契約や役務提供契約のうち「申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの」を適用除外としている。同じ条文は、本邦外にいる者への販売、国や地方公共団体が行う販売なども除外する。

つまり法人相手のテレアポには、電話勧誘販売の規制がかからない。企業の代表番号にかけて担当者につなぎ、法人契約の商談を取り付ける業務は、この除外に該当する。

法人向けと個人向けで、求人票の見た目はほとんど変わらない。しかし制度上の位置づけは別物である。応募前に「かける先は法人か個人か」を確認すると、入社後の制約の強さが読める。

販売を伴わない発信も対象外

市場調査、来場促進、料金の督促、契約内容の確認。これらは商品や役務を売る勧誘ではないため、電話勧誘販売の規制は及ばない。

前掲のCCAJ調査で市場調査が39.7%、来場促進が29.4%あるということは、規制の外側にある発信業務が一定量存在するということでもある。営業に抵抗があって発信を避けている人にとって、この区画は現実的な入り口になる。

求人票では「調査」「アンケート」「確認業務」「督促」といった語で募集される。発信系の募集はテレアポ・テレマーケティングの求人にまとまっている。

電話勧誘販売にかかる4つの行政規制

個人向けの勧誘電話をかける場合、次の規制が直接かかる。条文まで押さえておくと、職場のルールが法律由来なのか社内都合なのかを区別できる。

規制の一覧

規制 条文 内容
氏名等の明示 法第16条 勧誘に先立ち、事業者の名称、勧誘者の氏名、商品等の種類、勧誘目的であることを告げる
再勧誘の禁止 法第17条 契約を締結しない意思を表示した者への勧誘を禁止
書面の交付 法第18条・第19条 商品の種類、価格、支払時期と方法、引渡時期、クーリング・オフに関する事項等を記載した書面を交付
禁止行為 法第21条 不実告知、故意の事実不告知、威迫して困惑させる行為の禁止

氏名等の明示は「先に言う」ことが要件になっている

法第16条は、勧誘に先立って告げることを求めている。会話が進んでから明かすのでは要件を満たさない。

告げる項目は4つある。事業者の氏名または名称、勧誘を行う者の氏名、商品や役務の種類、そしてその電話が契約締結の勧誘のためのものであること。最後の項目が実務では効く。「アンケートです」と言って始め、途中から販売に移る進め方は、この条文に正面からぶつかる。

再勧誘の禁止は、働く側の日常を決める

法第17条は、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘を禁じている。断られた時点で、その相手への勧誘は終わる。

粘って翻意させる行為は、制度が想定していない。テレアポに対して持たれがちな「しつこく食い下がる仕事」という印象は、少なくとも個人向けの勧誘については法律と噛み合わない。

もっとも、これは働きやすさを保証する条文ではない。断られたら引き下がる以上、次の相手にかけ続けることになる。負荷は粘りの方向ではなく、回数の方向に出る。

書面と禁止行為は、話し方を固定する

法第18条・第19条は、申込みや契約の際に法定の記載事項を含む書面の交付を求めている。記載事項は6項目に及び、クーリング・オフに関する事項も含まれる。法第21条は、商品の性能、価格、支払時期、引渡時期、解除に関する事項などについて不実のことを告げる行為、故意に事実を告げない行為、威迫して困惑させる行為を禁じている。

この2つが、現場でトークスクリプトが固い理由になっている。手元の台本から外れた説明は、不実告知や不告知の側に転びうる。自由に話せないことを窮屈と感じるかどうかは、応募前に見積もっておきたい。

なぜ電話だけがここまで規制されるのか

規制の一覧を覚えるより、理由を理解しておくほうが応用が利く。消費者庁は理由を明文で示している。

「不意打ち性」と「覆面性」

消費者庁の取引対策課が示した資料は、電話勧誘販売について次のように説明している。電話の不意打ち性や覆面性、執拗な勧誘を容易に行い得るといった特性を有していること、購入者等が受動的な立場に置かれ、契約締結の意思が不安定なまま申込みや締結に至るケースが多いこと。だから行政規制を措置し、クーリング・オフ制度を設けている、という組み立てになっている。

不意打ち性とは、相手が準備していない時間に割り込むことを指す。覆面性とは、かけてきた相手が誰で、何の目的かが見えないことを指す。法第16条の氏名等の明示は、この覆面性を打ち消すための条文である

規制が個々に存在するのではなく、電話という手段の性質から一貫して導かれている。職場のルールがどこから来ているかも、この線で推測できる。

契約は8日間ひっくり返りうる

法第24条は、法定書面を受領した日から起算して8日以内であれば、書面または電磁的記録によって申込みの撤回または契約の解除ができると定めている。事業者は、これに伴う損害賠償や違約金の支払いを請求できない。さらに法第24条の2は、通常必要とされる分量を著しく超える契約について契約締結後1年間の撤回・解除を認め、法第24条の3は不実告知等によって誤認した場合の意思表示の取消しを定める。

成約が取れても、後から解除される可能性が制度に組み込まれている。成果指標が「成約数」で組まれている職場では、この撤回が評価にどう反映されるかを確認しておいたほうがいい

違反すれば業務停止命令が出る

規制は運用されている。消費者庁が2025年1月23日に公表した電話勧誘販売の処分事案では、画像投稿アプリの投稿をきっかけにメッセージアプリのIDを登録した相手へ通話機能で電話をかけ、商品の売買契約等の勧誘を行った事業者が処分を受けた。処分理由は氏名等の明示義務違反、書面の不交付、不実告知で、内容は法人に対する業務停止命令3か月、役員に対する業務禁止命令3か月だった。

会社が止まれば、そこで働いていた人の仕事も止まる。事業者がどのようなリストにどうかけているかは、働く側にとって自分の雇用に直結する情報になる。

規制が、現場の仕事の形をどう決めているか

法律の話を実務に引き直す。個人向けの勧誘電話をかける現場は、次のような形になる。

最初の20秒が台本で固定される

法第16条が求める4項目を先に告げる以上、冒頭の名乗りは省略できない。会社名、自分の名前、何の商品か、勧誘の電話であること。この4つを言い終える前に切られることは日常的に起きる。

裏を返せば、最初の20秒で切られるのは個人の技術の問題ではなく、制度がそう設計されているからでもある。成果が出ない時期に自分を責めやすい人ほど、この構造は知っておいたほうがいい。

断りの言葉を記録する運用になる

法第17条の再勧誘禁止を守るには、誰が断ったかを残す必要がある。リストに「不要」のフラグを立て、次回以降の架電対象から外す。この管理が甘い会社は、法令違反を積み上げていくことになる。面接では、断られた相手をどう管理しているか、リストの出所はどこかの2点を聞ける。答えられない職場は、管理していない可能性がある。

通話は録音される前提で進む

不実告知や威迫の有無は、後から検証される。そのために通話を録音している職場が多い。録音は監視のためだけでなく、言っていないことを言ったとされたときに自分を守る材料にもなる。きつさの中身は、断られる回数そのものより、この管理の細かさに出ることがある。負荷の切り分けはコールセンターがきついと感じたときで扱っている。

給与と求人票の読み方

最後に条件の話をする。統計でどこまで分かるかを先に確定させておきたい。

統計では受信と発信を分けられない

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、コールセンターのオペレーターもテレフォンアポインターも「電話応接事務員」という一つの職種区分に集計される。この区分の数字は、フルタイムで年収換算約394万円、パート・アルバイトで時給1,363円である。

受信と発信の区別はない。したがって「発信のほうが時給が高い」という話を、この統計で裏づけることはできない。求人票に出ている時給差は、案件ごとの単価と募集の難しさから来ているもので、業務の種類に紐づいた相場ではない。給与の内訳はコールセンターの年収・給料で分解した。

インセンティブの前に、撤回の扱いを確認する

発信系はインセンティブが乗る求人がある。確認したいのは、支給の基準が「成約」なのか「クーリング・オフ期間の経過後に確定した成約」なのかである。

法第24条により、契約は書面受領から8日以内であれば解除されうる。撤回された契約がインセンティブから差し引かれる設計なら、月の途中で見えている数字は確定値ではない。固定部分だけで生活が成立するかを先に確認し、インセンティブは上振れとして扱う。この順番なら、求人票の「月収35万円可」に引きずられずに済む。

求人票で確認する5点

一つ目はかける先が法人か個人かで、法人なら特定商取引法の勧誘規制は適用除外になる。二つ目はリストの出所で、既存顧客・資料請求者・未接点のいずれかによって難易度が変わる。三つ目は業務の種類で、勧誘・調査・来場促進・督促のどれかによって規制の有無が変わる。四つ目は成果指標で、架電件数なのか、通話接続数なのか、成約数なのか。五つ目はインセンティブの確定タイミングである。

5点とも面接で聞けば答えが返る。特に一つ目と三つ目は法律上の位置づけを決める要素で、会社側が把握していないはずがない。答えが曖昧なら、そこから先の説明も確かめたほうがいい。

よくある質問

テレマーケティングとコールセンターの違いは何ですか

コールセンターは電話業務を集約して置く組織や拠点を指す語で、受信も発信も含みます。テレマーケティングは電話を使って市場に働きかける活動の総称で、販売勧誘のほか市場調査や来場促進も含みます。日本標準職業分類では、コールセンターオペレーターもテレフォンアポインターも同じ小分類256「電話応接事務員」に集計されており、統計上は区別されていません。

テレアポは法律で禁止されている行為がありますか

個人向けの勧誘電話は特定商取引法の電話勧誘販売にあたり、勧誘に先立つ氏名等の明示(法第16条)、断った相手への再勧誘の禁止(法第17条)、法定書面の交付(法第18条・第19条)が義務づけられています。不実告知、故意の事実不告知、威迫して困惑させる行為は法第21条で禁止されています。違反すれば業務停止命令の対象になります。

法人向けのテレアポにも同じ規制がかかりますか

かかりません。特定商取引に関する法律第26条第1項第1号は、申込みをした者が営業のために、または営業として締結する契約を適用除外としています。法人相手の商談アポイントはこれに該当するため、電話勧誘販売の勧誘規制は及びません。ただし規制がないことと、断られた相手にかけ続けてよいことは別の話です。

断られたときに食い下がる必要はありますか

個人向けの勧誘であれば、法第17条が契約を締結しない意思を表示した者への勧誘を禁じています。断られた時点でその相手への勧誘は終わります。負荷は粘る方向ではなく、次の相手にかけ続ける回数の方向に出ます。

未経験でもテレアポの仕事に就けますか

CCAJの2025年度調査では、採用活動の状況を答えた67社のうち45社(82.1%)が採用に苦労していると回答しています。入り口は広い状態です。ただし発信中心の企業は非公開を除く67社中9社(13.4%)で、募集の絶対数は受信より少なくなります。

次に読む

出典

  • 消費者庁「特定商取引法ガイド」電話勧誘販売 https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/
  • 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第16条・17条・18条・21条・24条・26条 https://laws.e-gov.go.jp/law/351AC0000000057
  • 消費者庁 取引対策課「説明資料」(令和8年2月17日)規制趣旨および処分事案 https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/meeting_materials/assets/consumer_transaction_cms101_260220_01.pdf
  • 日本コンタクトセンター協会「2025年度 コンタクトセンター企業 実態調査」(対象109社・回答68社・回収率62.4%) https://ccaj.or.jp/telemarketing/doc/outsourcing_research_2025.pdf
  • 総務省「日本標準職業分類」(平成21年12月統計基準設定)小分類256 電話応接事務員 https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/shokgyou/kou_h21.htm
  • 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別・企業規模計10人以上 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2024/index.html

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この記事を書いた人

受付・コールセンター歴10年の編集者。企業受付・インバウンド・SV(管理者)・採用担当を経験し、現場目線で「受付キャリアナビ」編集部の記事執筆・編集を担当。

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